塩づくりとは「待つ仕事」…無理はしない
塩づくり職人の後継者という立場に、プレッシャーは感じなかったという。


そう思えた背景には、見学時に工房責任者の馬鉢(うまばち)宏一さん(57)からかけられた、ある言葉があった。
「続けてみて、合わないなとか環境が違うな、と思ったら、その段階で辞めればいい。無理して何かするっていうのが一番良くないから」
この飾らない、温かな言葉があったことで、熊本さんは気負うことなく塩づくりの世界に飛び込めたのだという。
工房のメンバーは、熊本さんと工房責任者の馬鉢さん、そしてパートの女性の計3人だ。
熊本さんは工房に足を踏み入れた際、設備投資などが手つかずになっていると感じる部分が少なからずあったという。新しい環境に慣れていない分、多くの「気づき」があった。
新しく加わった自分だからこそ改善を提案しやすいと考え、気付いた点は本社に報告。直せる所は手作業で直したり、初めてのDIYにも挑戦している。
熊本さんから見た馬鉢さんは「自分と同じようにすること」を求めない人だ。
馬鉢さんは常に「誰でもできる」を意識しており、例えば重労働になりがちな機械間の水の移し替え作業では、女性の熊本さんでも無理なく行える方法を一緒に模索。現場に合わせて専用の道具を自作してくれるなど、細やかな優しさがある。










