自転車は化石燃料を使わず運動にもなるSDGsな乗り物。最新の電動アシスト自転車で大自然の中を走りました。北アルプスの玄関口、立山町の観光振興の取り組みです。
記者:「今回私が乗るのは、最近注目を集めているこちらの自転車です」
電動アシスト付きマウンテンバイク、その名も「Eバイク」。ボタン1つでアシスト力を変えることができ、その快適さから最近は年配の人が健康づくりに始めることも…。
立山町観光協会 金尾 公詳さん:
「違いは一言でいうと、楽に誰もがどこでも行ける自転車」
半信半疑で乗ってみると…。
記者:
「押しますね、おーすごい。軽いです。ペダルが軽い」
電動アシストのスイッチを入れた瞬間、新感覚の走りを楽しめます。
記者:「すごいですね」
立山町観光協会 金尾 公詳さん:「すごいでしょ」
記者:「車のアクセルを踏んだ感じです。普通の自転車と全然違います」
立山町はこれを武器に町を活性化しようと、2年前に富山県内で初めてEバイクの貸し出しを始めました。このEバイク立山町の地形にうってつけということなのですが…。
金尾さん:「さあ、坂道です。もうすぐ坂道入ります」
ここからしばらく上り坂が続きます。
金尾さん:「ここからエコモード」
記者:「エコモード、はい、押します。おー」

さらにアシストを強めると…
金尾さん:「さあ“HI”モードにしましょうか」
記者:「わー、後ろから押されているみたいですね」
山の斜面に応じて走行モードを変えることで、どんな急斜面でも登ることができ、起伏の多い立山町の地形に適しています。自転車に乗り慣れていない人や、年配の人でも快適に楽しめます。
記者:「本当に楽です。こんな坂普通の自転車だったら立ちこぎするようなところだと思うんですけど、坂道走っている感覚ないですね」

第1関門の坂を思いがけず簡単に突破し、到着したのは「グリーンパーク吉峰」。ここには自転車のメンテナンスもできる「サイクルステーション」の設備もそろっています。次なる目的地へ―。

金尾さん:「いま、直線、ストレートのコース、どうですかこの眺め」
記者:「目の前で立山が広がっていて、絶景ですね」
少しずつ近づく山々に胸が踊ります。立山に続く直線を駆け抜け、たどりついたのは…。
金尾さん:「立山信仰の地、布橋(ぬのばし)到着です」

「布橋灌頂会(ぬのばしかんじょうえ)」の舞台、布橋。「布橋灌頂会」は立山に登ることを禁じられていた女性たちが、極楽往生を願って布橋を渡る儀式で江戸時代に始まりました。


記者:「立山に向かって橋が続いているようにも見えますけど…」
金尾さん:「まさしくその通りなんです。この橋と(北アルプス立山の)雄山(おやま)山頂が一直線で結ばれているんです」
ことし9月に5年ぶりの開催が決まっていて今は、ちょっとお色なおし中。撮影時は白色の珍しい表情を楽しむことができました。
記者:「これは自転車でしか来られないところですよね」
金尾さん:「いつでもどこでも停められる自転車でこの橋を見る。最高じゃないですか」
布橋前の道は細くEバイク旅ならではのおすすめスポットです。

旅もいよいよクライマックス。称名滝まで続く坂道をEバイクでゆっくりと登ってゆきます。
金尾さん:「加賀谷(記者)さん、右見てください。『悪城(あくしろ)の壁』堂々と出てきましたよ」
高さ500メートル、その幅2キロ。一枚の岩壁としては日本一です。

記者:
「すごい、こんな絶景があったなんて。こんなにまじまじと見ることができるのはEバイクならではですよね」
金尾さん:「さあ、称名滝の終点、到着です。(称名滝に)来ましたよ」
Eバイクでおよそ3時間半かけて目的地、称名平に到着。

記者:「いい音しますね」「イエーイ!」
日本一の落差350メートルの称名滝。その右隣には雪解けの時期にしか見ることのできない幻の滝、ハンノキ滝も。豪快で雄大な2本の滝が疲れを癒やしてくれました。

誰でも気軽に新たな目線で観光できるEバイク。その可能性は環境にやさしいだけでなく、まちづくりにもつながりそうです。

金尾さん:
「私たちは自転車を活用して環境にやさしい、そして健康に良い、SDGsな乗り物として、これからも町としてこれを活用化していきたいと思っています」