福島県楢葉町の廃炉技術の開発施設で、高等専門学校(高専)の学生のロボットコンテストが開かれました。課せられたミッションは『廃炉作業』。高専生の挑戦です。

数十年続くとされる廃炉作業…それを担う次世代の人材育成を目指すのが「廃炉創造ロボコン」です。全国の高専と海外からはマレーシア工科大学、あわせて17チームが出場しました。

地元からエントリーしたのは、福島高専。メンバーの一人、塚田愛由希(あゆき)さんは、将来、廃炉に携わりたくて山梨県から福島高専に入学しました。

塚田さん「ずっと(廃炉に)憧れてここに来ているので、自分でつくりたいものを自分で形にできるように目指している」

去年、夢だった廃炉創造ロボコンに初めて出場した塚田さん。しかし、マシーントラブルで無念のリタイア。その悔しさをバネに迎えた、今年。塚田さんは、去年の教訓を生かして足回りの強化に力を注ぎました。

塚田さん「移動する時はタイヤ(で走行)、段差を登る時はアームクローラー(で走行)。タイヤとクローラーは基本的に同じモーターで組み合わせ使わない。面白そうだからやってみようという感じで」

しかし本番間際になっても制御する信号がうまく伝わりません。

そして、競技開始。この大会は、将来活用できる廃炉作業のアイデアの発掘、そして何よりも、学生に創造性を高めてもらいたいという狙いがあります。

福島高専・鈴木茂和教授「将来この分野(廃炉)に興味をもってもらえれば。(廃炉で)活躍するという夢や目標を見つけられるようにできればいい」

競技は、福島第一原発高線量エリアの遠隔高所除染を想定。ロボットは遠隔で操作し、障害物を乗り越えながら除染エリアに移動、2.7メートルの高さにある紙をペンで塗りつぶし、時間内にスタート地点へ戻ってくるというミッションです。

いよいよ、福島高専の本番。しかし…ロボットが動きません。除染機構のパフォーマンスだけを見せて、競技を終了しました。

悔しさをにじませる塚田さん。しかし、この大会を経験して湧き上がる思いがありました。

塚田さん「少しずつですけど前に進めているので、将来的には廃炉にロボット分野で携わりたいと現時点で思っている」