原発処理水の海洋放出開始から1か月、福島県産水産物の価格に大きな変動はないということですが、気になるのは消費者の反応です。

福島県いわき市の「常磐もの」を扱う飲食店では、消費者の応援の動きを感じるといいます。新鮮な常磐ものが売りの「まかない海鮮丼ぶり」、「マダイ」や「アカイカ」などがのっています。

水津邦治アナウンサー「こちらはいわき・ら・ら・ミュウにオープンした和食料理店。おいしい常磐ものが味わえます」

常磐ものが売り物の「和食処とのがみ小名浜店」。震災の津波で母親を亡くした新妻篤さんが営む和食の店です。25日も午前中から地元の人が訪れていました。

地元の客「あら汁もおいしくて、海鮮丼も色々入っていておいしかったです」

もともとふるさと久之浜町にお店があった新妻さん、観光客が多い小名浜に2号店を出したのには、理由がありました。

新妻さん「コロナ禍もあってお客様が大分減りました。おいしい魚を多くのお客様に伝えるにはここの場所がいいのかなと思って」

原発事故の風評や新型コロナの試練があっても「常磐ものの魅力を広くPRしたい」。そんな思いの中でさらに迎えた「処理水の放出」。まずは魚の仕入れ価格がどうなるか気になっていましたが、それほど変わらないといいます。

和食処とのがみ・新妻篤さん「逆に微増しているような感じはある。それだけ全国的に引き合いが多いのではないかなと感じています」

肝心のお客さんの反応は、予想外のものでした。

新妻さん「処理水を放出するまでは大変心配していました。ふたを開けてみれば逆に他の地域から応援に来てくださる方や支援に来てくださる方が大変増えている」

食べてくれる人の支えを感じながら、新妻さんはこれからも自信を持って地元の常磐ものを提供し続けます。