夏ごろに海への放出が計画される福島第一原発の処理水について、西村経済産業大臣が福島県内の漁業者と面会しました。西村大臣は、処理水の安全性を訴えましたが、漁業関係者は従来通り反対の立場を示し、議論は平行線をたどりました。
西村経産大臣は、福島県いわき市で県漁連の野崎会長など漁業関係者と面会し、7月4日に提出されたIAEAの報告書をもとに処理水の科学的安全性を説明しました。
処理水について政府は、夏ごろまでに海への放出を目指していますが、「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」と県内の漁業関係者と約束を交わしてます。
会談は、冒頭以外非公開で行われましたが、漁業関係者から「販路の開拓に力を入れてほしい」「消費者へ安全性についてさらに説明をしてほしい」といった要望が出たということです。
西村大臣は、「漁業関係者との約束は守る」と強調したうえで「理解は進んだか」との質問に対しては、明言を避けました。
西村大臣「そうしたお気持ちに寄り添いながら、漁業を継続していけるように、国が責任を持って取り組んでいくということを申し上げた。」
反対の立場を示す県漁連の野崎会長は、「理解はまだ進んでいない」と述べました。
福島県漁連・野崎哲会長「廃炉作業が完全に終わって、なおかつ福島の漁業が存在しているというのが我々の理解」
放出時期に関しては、西村大臣は政府全体で判断するとしていて「これからも福島に足を運び漁業者に寄り添っていく」と話しています。