木を使った家や家具、その風合いが魅力です。しかし、木の製品は長い年数が経つと劣化する場合があります。こうした課題を新しい技術で克服しようという取り組みが、福島県内で行われています。それが「液体ガラス」です。
高温で溶けるガラスに特殊な技術を施した「液体ガラス」。
田中建設工業・田中誠二郎社長「これ(液体ガラス)は東京の企業が開発したものになりますが、これを塗装したことによってガラスの性質が木材と一緒になり、耐久性と紫外線に対する耐光がすごく強くなる」

会津若松市で建築や建物の解体などを行う田中建設工業の田中誠二郎社長は、液体ガラスを使った価値の高い木材を作ることで、林業や建築業界の活性化につなげようと、取り組んでいます。

液体ガラス木材は、木の中までガラスの溶液を浸透させるため、工場では溶液がしみ込みやすくなるよう、まず木材をお湯につけて水分を抜き、ガラスの溶液に浸します。

田中社長「4時間くらい(液体ガラスに)浸けて、それによって木材の中の導管に液体ガラスがしみ込んでいき、それが乾燥したことで固くなります」
出来上がった木材は耐久性が上がり、虫などの食害に強いため、建物の外壁材のほか、公共のベンチなどに使われています。

さらに、田中社長はこの技術を使って新しい取り組みを始めました。
古民家や、蔵などの解体時に出た建具の液体ガラス加工。この日は、120年前に作られた蔵の扉や飾りの施された欄間を加工しました。
田中社長「何かしら親が残したものを使いたい、再利用できればというお客さんの相談があった」

さらに、田中社長は、当時の職人によって作られた建具は、いまでは技術的に製作するのが難しいものもあり、液体ガラスを活用することで、次世代に技術を引き継げるのではと期待を寄せます。
田中社長「それを若い子たちが真似してやりたいという人たちが増えれば、また技術の日本という形に戻っていくのかなと思いますので、若い方とか色々な人のアイディア次第で面白いものができると思っています」