震災の津波で被災した福島県双葉町の神社で、地域の絆を強めようと4月末、新しい行事が始まりました。そこには多くの人の支えがありました。
双葉町の沿岸部、中野地区にある八幡神社。震災の津波で社殿のほとんどが流されましたが、おととし8月、新しい社殿が建てられました。この時、氏子総代の高倉伊助さんは、ある想いを抱いていました。
氏子総代・高倉伊助さん「地区民全体で年1回、10年前にみたいにお祭りをやったり、そういう催しをやってみたいという気持ちがあって・・・」
あれから1年8か月。
「せーの!わっしょい!わっしょい!」
威勢のいい掛け声を響かせながら、地域を練り歩く1台の神輿。地域の絆を強めようと「みこし巡行」が新たに始まりました。この神輿は、震災からの復興のためにと兵庫県淡路島の神社から贈られました。
担ぎ手には、県の内外に避難した住民のほか、震災後に双葉町とつながりを持った人の姿もありました。
震災後に双葉町に移住した山根辰洋さん「ずっと支援者として双葉町に来ていて、色々な人にお世話になって来たので、やっと双葉町でお祭りに参加できてうれしい。神社やお祭りで人が繋がるのはすごく良いと思う」
高倉さん「本当にありがとうございました」
神輿の巡行を見届けた高倉さん。神社がかつての住民だけではなく、町に関わる全ての人の心の拠り所となってほしいと考えていました。

高倉さん「将来的に地区や町の人だけではなくて、色々な所から来てここで(双葉町で)生活してもらいたいという気持ちも強い」
実は、この神社にはこれまでこのような「みこし巡行」はありませんでした。神輿は震災後、浜通りの復興のためアクアマリンふくしまに贈られたもので、その後八幡神社に奉納されたものです。
震災から13年目。現在、町にはおよそ40の神社がいまだ参拝や再建が難しい状況にあるということで、高倉さんは神社が町全体の新たな拠り所となるよう「みこし巡行」を続けていきたいと話していました。