今年の暑い夏、ひんやりと冷たい日本茶で水分補給はいかがでしょうか。ペットボトルで手軽に飲める時代ですが、ほんのひと手間かけて自分で淹れるだけで、すっきりと格別な味わいが楽しめます。
JR郡山駅から徒歩5分ほど、郡山市大町にその店はあります。文久元年の創業から今年で165年目を迎える日本茶専門店「菊屋茶舗」です。
伝統を受け継ぐ8代目のこだわり
現在お店を取り仕切るのは、8代目の高橋洸さん。静岡や京都、福岡といったお茶どころから選りすぐりの日本茶や抹茶、そして本格的に楽しむための茶道具まで豊富に取り揃えています。
「お茶の魅力は、やっぱり淹れ方によって表情が変わること。丁寧に淹れれば丁寧に味が出ます」と高橋さんは語ります。静岡茶の爽やかな苦み、宇治茶の苦みが少なく甘みがある特徴など、それぞれの個性を活かし、オリジナルのブレンドを考案してもらっています。そのお茶が郡山の水に合うかどうかまで、自身の舌で確かめています。数あるオリジナル茶の中でも、特にお店の歴史を感じさせるのが「菊の栄」です。
菊屋茶舗は、もともと酒蔵として始まりました。その後、旅館を営むようになり、そこで出したお茶が好評だったことから、文久元年に茶屋へ転身したと伝えられています。「菊の栄」という名は、酒蔵で作っていたお酒の名前をそのまま受け継いだもの。お店の歩みが詰まった、思い入れのある日本茶です。
夏にこそ味わいたい、冷たい日本茶の淹れ方
「菊の栄」をはじめとする日本茶は、この時期、冷やして飲むのも格別です。
「一度お湯で淹れることで、味がしっかり出て、爽やかな苦みが引き立ちます」と高橋さん。暑い季節には、温かいお茶を作ってから耐熱性のガラス容器などに入れて冷やすという、ひと手間かけた楽しみ方を提案しています。家に飲みきれずに残っているお茶があれば、ぜひ試してみたい方法です。
このひと手間が、お茶本来の風味と甘みを引き出し、涼やかな一杯を届けてくれます。
お茶屋ならではの絶品抹茶スイーツ
菊屋茶舗のもう一つの顔が、抹茶を使ったスイーツです。ソフトクリームやかき氷など、40種類以上の豊富なメニューが揃い、多くの人々を魅了しています。
中でも抹茶ソフトクリームは、福島県で初めて提供されたと言われ、その歴史は30年以上に及びます。これは8代目の父・徳治さんが、お茶が売れにくい夏場にも客足を絶やさないようにと始めたもの。今では、この抹茶スイーツを目当てに訪れる客も少なくありません。
「この前来ておいしかったから、また食べに来ました。他のお店のとは違いますね」と語る常連客も。お茶はもちろん、スイーツも菊屋茶舗のファンを増やし続けています。
贅沢な一番茶と、世界的な抹茶ブームの波
スイーツに使われる抹茶にも、老舗ならではのこだわりが光ります。ソフトクリームには、苦みが少なく香りが良い宇治の一番茶を使用。一番茶とは、春に最初に出る新芽のことで、さっぱりとした味わいが特徴です。
さらに、かき氷にはその一番茶を石臼で挽いた、1キロ7万円もする贅沢な抹茶を使用。苦みの中にしっかりとした甘みが感じられる逸品です。
近年、抹茶は世界的なブームとなり、「MATCHA」として海外でも通じるほど。外国人客も増えましたが、その一方で仕入れ価格が2倍に高騰するという問題も発生しました。
「まさか一気に2倍になるとは」と高橋さんは驚きを隠しませんが、「需要があることはいいこと。お茶に興味を持ってもらえるのはプラス」と前向きに捉えています。大学卒業後に京都の宇治で修業した際のつながりを活かし、新たな抹茶を探すことで、価格の上昇を抑えながら提供を続けています。
伝統を未来へ。日本茶をより身近な存在に
「急須で淹れるお茶は敷居が高い」と感じるスイーツ目当ての客の声に応え、手軽に楽しめる美味しいティーバッグも仕入れるなど、高橋さんは日本茶をより身近なものにするための試行錯誤を続けています。
「100年以上続く店なのでプレッシャーはありますが、先代の名に恥じないよう、いい商品を作って頑張っていきたい」。
伝統を守りながら、時代に合わせて進化を続ける菊屋茶舗。ほっと一息つける時間のお供に、その一杯を味わってみてはいかがでしょうか。
『ステップ』
福島県内にて月~金曜日 夕方6時15分~放送中
(2026年7月9日放送回より)










