猪苗代湖の南部に位置する郡山市湖南町。湖の向こうに磐梯山を望む舟津公園は、夏になると湖水浴やキャンプ客でにぎわうスポットです。この公園に、長年地元で愛され続ける一軒の食堂があります。それが、この地域で昔から食べられてきた郷土食を提供する「太田屋食堂」です。

現在、お店を切り盛りするのは3代目の大越純子さん。そして、91歳になる2代目の裕子さんは、今も元気いっぱいの「看板娘」としてお客さんを迎えます。義妹のつる子さんも加わり、店内はいつも温かくアットホームな雰囲気に包まれています。

「お母さんとしゃべると元気になるんだっていう人も結構いますね」と純子さんは話します。ひろこさんの明るい笑顔に会いに来るファンも少なくありません。

始まりは「赤はら」の天ぷら

太田屋食堂の創業は昭和10年。今年で91年目を迎えます。初代のイトさんが、藪だらけだったこの場所にお休み処として店を構えたのが始まりでした。「名物なるものを作りたい」と、イトさんが目を付けたのは、この地域で昔から食べられていた郷土食でした。

その食材とは『赤はら』。猪苗代湖で育つ『ウグイ』という魚で、産卵期にお腹が赤くなることから、この地域ではそう呼ばれています。昔は猪苗代湖や支流の川で釣りや投網漁が盛んに行われ、各家庭で塩焼きや甘露煮にして親しまれていました。

太田屋食堂では、この赤はらを天ぷらにして提供。すると「赤はらの天ぷら定食」は評判を呼び、多くのお客さんが訪れるようになりました。

初代・イトさんが研究を重ねたという調理法にも特徴があります。内臓を取る際に背開きにすることで、形よく揚がり、食感もふわっと仕上がるのです。このひと手間が、家庭では味わえないプロの味を生み出しています。

世代を超えて受け継がれる味と想い

この伝統の味を支えているのが、2代目の裕子さんです。3年前に脳梗塞で倒れたものの回復し、現在はリハビリを兼ねて一回に100匹から200匹の赤はらをさばいているといいます。

クセのない淡白な味わいの赤はらの天ぷらは、今でも客の8割が注文するという不動の人気メニュー。仙台から来た客は「淡水魚の臭さもなくて、おいしかったです」と話し、地元の客も「シャリシャリしておいしい。赤はらを食べられるところが本当にここしかないと思うので、こういうお店は必要」と、その価値を語ります。

一方で、赤はら漁の後継者がいなくなり、安定した仕入れが課題となっています。現在は地域の釣り人に頼んで協力を得ながら、長年続く味を守り続けています。

3代目の純子さんは「夕日のきれいなときにお店をやりたいな」と未来を語ります。自分が楽しく続けられる形を目指していきたいという純子さんの言葉に、裕子さんも「それは最高だね!」と笑顔で応えました。

猪苗代湖と磐梯山を望む最高のロケーションで、元気な看板娘が迎えてくれる町の食堂。ここでしか味わえない名物「赤はらの天ぷら」を、ぜひ一度味わってみてはいかがでしょうか。

太田屋食堂
福島県郡山市湖南町舟津
営業時間:午前11時~午後2時30分
定休日:火曜日・水曜日

『ステップ』 
福島県内にて月~金曜日 夕方6時15分~放送中
(2026年5月7日放送回より)