原発事故による自主避難者のうち、無償提供終了後も国家公務員宿舎に住み続けている住民に対し、福島県が住宅の明け渡しなどを求めている裁判で、福島地裁は29日、住民の女性に対して退去を命じました。
県は、2017年に自主避難者への住宅の無償提供の終了後、東京都の国家公務員宿舎に避難する住民に対して、同額の家賃を支払うことで、2019年3月末まで期限付きで入居が継続できる契約を結んでいました。
判決によりますと、福島県広野町からこの宿舎に自主避難した女性は、契約が切れた2019年3月末以降も退去を拒み、住み続けたとして、県は住居の明け渡しと損害金として、2019年以降から退去するまでの家賃の支払いを求めていました。
住民の女性はこれまで事実関係は認めつつも、県の訴えは、国際的に定められた避難する権利を侵害しているとして、請求の棄却を求め、争う姿勢を見せていました。
29日、福島地裁の小川理佳裁判官は、女性が口頭弁論に一切出頭しなかったことに加え、県の請求事実は全て認められるとして、請求通り女性に退去を命じる判決を言い渡しました。また、約151万円と明け渡しまでに1か月あたり約3万9千円の支払いも命じました。