櫻井食堂の名物、蔵ラーメン醤油。


喜多方にあれど、喜多方ラーメンにあらず…。

名物の蔵ラーメンです。

鶏ガラと豚骨をベースに、あっさりとしたスープに仕上がっています。
また、チャーシューの他にもワカメやコーンなど8種類の具材が乗っていて、様々な食感が楽しめる一杯です。


この蔵ラーメンには、ある誕生秘話がありました。

時代は昭和から平成に移り変わろうとしていたころ、喜多方では「喜多方ラーメン」の一大ブームが起こり、観光客用に馬車が走るほどの賑わいを見せていました。


当時市内には100店舗以上が軒を連ねるなか、櫻井さん親子は他にはないラーメンを作ろうと考えたのです。

3代目・櫻井友子さん「何か他にないものをと思って、2人で考えて食べ歩きもした」


一日に何件も食べ歩きをする中、たどり着いたのが食べる人の健康を考えたラーメン。

3代目・櫻井友子さん「ラーメンを食べると塩分とりすぎだという話を聞いていたものですから。わかめとショウガをラーメンに入れて編み出したのが蔵ラーメン」

蔵ラーメンにはショウガの千切りがのっています。


スープには、ショウガのエキスが溶けだし、食べれば体がさらに温まります。

この日店を訪れた人も蔵ラーメンを味わっていました。

三重からの観光客「ショウガが入っていてびっくりした。おいしい」

蔵ラーメンには、味噌味もあります。


あっさりとした醤油味と違い、こちらは生のニンニクを使ったパンチの効いたスープ。

ラーメンを食べて喜多方の寒い冬を乗り越えてもらいたい。醤油と味噌、どちらの蔵ラーメンにもお客さんへの心遣いが込められています。

蔵ラーメンという名前にもある意味が込められていました。

3代目・櫻井友子さん「蔵っていうのは、どこの家も宝ものがいっぱい。ラーメンも具材をいっぱい入れて、味も試行錯誤した」


常にお客さんのことを思って営業してきた櫻井食堂。

4代目の利江さんは小さいころから母・友子さんの働く姿を見て育って来ました。

4代目・櫻井利江さん「子ども心にも忙しいところを見て育った。でも子どもだから遊びたい時期もあったし、友達が羨ましい時期もありました」

創業して118年。3人はこれからも店を守り続けます。


4代目店主・櫻井隆弘さん「おいしいねって言われるようなラーメンをこれからも作っていきたい」

3代目・櫻井友子さん「命のある限り頑張って働いている姿を見せないといけない」

4代目・櫻井利江さん「昔と比べて車が多くなって、客数が半減とはいっても駅前から動かないのは「芯」もありますし、この場所から動かないでしっかりやっていこうという心構えです」

櫻井食堂の蔵ラーメン。
その一杯にはお客さんを思う家族の温かさが込められていました。


櫻井食堂の営業は午前8時から午後7時まで、定休は木曜日です。