2020年に福島県の猪苗代湖で、ボートを操縦中に3人をはね、死傷させたとされる被告の控訴審判決で、仙台高裁は16日、一審の判決を破棄し、無罪を言い渡しました。
判決を受けたのは、福島県いわき市の元会社役員・佐藤剛被告(47)です。 佐藤被告は2020年、猪苗代湖でボートを操縦中に湖に浮かんでいた親子などをはね、豊田瑛大さん(当時8)を死亡させたほか、2人に大けがをさせたとして業務上過失致死傷の罪に問われています。
一審の福島地裁では「見張りを行い、安全を確認して航行していれば衝突を回避できた」などとして、禁錮2年の実刑判決を言い渡しました。 佐藤被告は、無罪を主張していて、判決を不服として控訴していました。
16日、仙台高裁で開かれた控訴審の判決公判で、渡邉英敬裁判長は「前方を注意したからといって、確実に被害者を発見できたとは言えない」「警察の事故を再現した実況見分では被告に不利な状況での再現となった」などとして、一審の判決を破棄し、佐藤被告に無罪を言い渡しました。
判決後、佐藤氏は弁護人を通じ「私は当時、十分な針路の安全確認を行っていました。この度の控訴審判決は、その点を確かな証拠に基づいてお認めくださったものと理解しています」と判決について述べました。
また豊田瑛大さんの遺族は弁護士を通じ「本日の判決は到底納得できるものではありません。生命を奪われて一生背負う重大な傷害を負わされたのに無罪とはこの国の司法制度が本当に機能しているのかもう一度問いたいので上告審での審理を強く求めます。」とコメントしました。