宮城県出身者としては3人目の芥川賞受賞となった佐藤さん。県内には喜びが広がりました。
一夜明け地元、仙台では受賞を祝う声が聞かれました。
市民:
「そこの書店の人が!本当に?きょう書店に行く予定なので見てみます」
「地元の人は喜んでいると思います。励みになると思います」
「私も震災のころは東京にいたのでこっちにいなくて体験はしていないので、そういう本を読んで被災地の方々の気持ちを知れればいいのかなと思います」
「まだ読んでいないので、ぜひ読んでみたい。あまり思い出したくはないが、忘れないようにしなくてはけないので、それはそれでいいんじゃないか」
芥川賞の選考会が開かれたのは19日夕方。青葉区中央の会場では恩師や同僚など関係者が集まり、吉報をかたずをのんで待っていました。
東北学院大学の恩師・植松靖夫教授:
「きのうの夜からそわそわしてきて他人事じゃなくて自分のこととして待っている状況」
そして、午後6時過ぎ。芥川賞発表佐藤さんが見事、芥川賞に輝きました。その後、佐藤さんは記者会見に臨み、心境を語りました。
佐藤厚志さん:
「おみくじを引いた時には願いは届かず、日々の幸せを大事にしてくださいと書いてあったので、あす早い新幹線をとってしまい、リスケジュールしなければいけなくなったが、地元、仙台がすごく盛り上がっていたので、期待に応えられるか結構プレッシャーで、本当によかったなっていうか、みんな喜んでいるのではと思っている」
佐藤さんの快挙に、吉報を待っていた地元・仙台の関係者には喜びが広がりました。
勤務先の丸善仙台アエル店・石原聖店長:
「書店で一緒に働く仲間として、こんな素晴らしいことが起こるなんて、夢にも思わなかった」
東北学院大学の恩師・植松靖夫教授:
「先ほどメールで『おめでとう、こちらは大騒ぎです』と送った。佐藤厚志というと、今でもそうですが、真面目でおとなしい」
受賞した「荒地(あれち)の家族)」の舞台は、東日本大震災の被災地、宮城県亘理町。津波で仕事道具を失った40歳の植木職人の主人公がその2年後に妻を病気で亡くしもがきながらも生活を立て直そうとする物語です。佐藤さんは受賞が震災の風化を防ぐことにつながればと期待します。
佐藤厚志さん:
「(震災が)忘れられるということにささやかな抵抗になればいいかなと思う。書店に来て、おもしろい本ないかなという時に、震災がテーマの小説はなかなか手を伸ばしづらいところがあるので、今回、テーマの一つとして東日本大震災が扱われている小説がノミネートされ、運よく受賞できたのはうれしい」
宮城県出身者の芥川賞受賞は辺見庸さんと石沢麻依さんに続いて佐藤さんが3人目。佐藤さんが勤務する書店ではさっそく、受賞を告知するポスターなどを掲示。受賞発表直前におよそ100冊あった受賞作品の単行本が、1時間ほどで売り切れました。
買い求めた人:
「今年初めて仙台に赴任したので、仙台の作家さんの作品ということで、とても気になった」Q.ついさっき芥川賞を受賞したんですよ「そうなんですか、仕事帰りでまだ、知りませんでした」
「震災の話なので、(読むのに)なかなか勇気はいるなと思うが、仙台ならではの、書店員ならではの視点もあると思うので、そういうところを楽しめたらなと思う」
この書店では今月下旬以降に再入荷するということです。一夜明け、佐藤さんが卒業した東北学院大学では学生たちが先輩の偉業をたたえていました。
東北学院大学の学生:
「賞をとる人たちは努力を人以上にしている思うので、そういう努力的な部分を見習いたい」
「学校のOBの方がとられたとなると見てみたいと思うし、本をあまり読まない人のきっかけとかにもなるので、書店を確認してみたい」
大学生協の書籍コーナーでは佐藤さんの作品は扱っていませんでしたが、受賞を受け、急きょ発注したということです。
東北学院大学生協・松尾洋介常務理事:
「東北学院大学の卒業生ということもあり、今月末に30冊くらい通常の5~6倍の入荷予定数となっている」
芥川賞を受賞し、一躍、時の人となった佐藤さん。今後も書店員として執筆活動を続けます。