震災発生から11年が過ぎ、津波に関する、ある研究分野への関心が世界的に高まっています。
それは「温暖化」です。温暖化で海面が上昇することで津波の威力が増すことがわかっていて専門家が分析を進めています。

海からおよそ400メートルのところにある山元町の中浜小学校。震災の教訓を語り継ぐ遺構のひとつです。

震災遺構 山元町 中浜小学校

語り部の高橋健一さんは、「ここが90人が一夜を過ごした場所こういう屋根裏部屋があることによってある程度寒さも防げた」と振り返ります。

語り部 高橋健一さん

あの日、津波は校舎2階、天井近くまで到達しましたが、児童や住民ら90人は屋根裏へ避難し、難を逃れましたが…

中浜小学校の校舎内

津波工学を専門とする東北大学のサッパシーアナワット准教授は、温暖化がもたらす津波への影響について研究しています。

東北大学 アナワット准教授

「もし海面上昇が1メートルくらいであれば屋上まで届くかもしれない」と警鐘を鳴らします。
また、「温暖化で海面が上昇することで津波も高くなる。水深や地形によって高さや流速や浸水する距離が変わってくる」といいます。

津波は、海底や陸との摩擦で徐々に勢いが弱まっていきます。ところが海面が上昇すると、摩擦の影響を受けにくくなりより遠く高いところまで到達します。
仮に海面が70センチ上昇した場合、津波が最終的に到達する遡上高は、場所によっては、1.5メートルを超える可能性があると言います。

海面が70センチ上昇すれば、津波の遡上高は、1.5メートル高くなることも

アナワット准教授は「海面上昇に関することは世界的に関心がもたれていて数年前から海外でいくつかの海面上昇と津波の研究が出始めている」といいます。

フランスからの留学生、エリザ・ラセンさんも温暖化と津波を研究対象に選びました。

フランスからの留学生 エリザ・ラセンさん

エリザ・ラセンさんは「インド洋のモルディブ諸島について、島のサンゴ礁への影響を勉強したいと思っています」と話します。

影響が、特に深刻なのが、海抜の低い島々。インド洋に浮かぶサンゴ礁の島、モルディブは海抜2メートル前後です。2004年のインド洋津波でも被災しました。海面上昇が進めば津波がきたとき、島そのものが水没する危険があります。
エリザさんは「水位があがるとサンゴ礁も沈みます保護能力が薄れてしまい津波がくると地域全体が浸水しやすくなる」と考えています。

アナワット准教授は現地調査のため、岩沼市に住む沼田健一さんの住宅を訪れました。
沼田さんは、津波で自宅が全壊し海から2キロほどの場所に建て直しました。

家が全壊した沼田健一さん

現在の想定では、再び震災クラスの津波が来ても床下浸水程度とされていますが、海面上昇で高さが増す恐れあがります。

「温暖化によって海の高さが高くなると心配ですよね」と話す沼田さん。
アナワット准教授は「海面上昇でもっと高くなったり、床下浸水が上がりますよね」と答えていました。

沼田さんとアナワット准教授


気象庁などはこのまま何の対策もせず2100年までに世界の平均気温が4度上昇すれば日本沿岸の平均海面も71センチ上がるとの報告を発表しています。

アナワット准教授は「これから先将来に向けて世界的な話題を取り組んで将来に向けてできること。50年後100年後の話だが、対応できるか」と指摘します。

警鐘を鳴らすアナワット准教授

温暖化で高まる津波の脅威。近い将来、海面上昇を踏まえた避難計画や防災設備の見直しが進むことになるかもしれません。