「少しでも希望につながる言葉があれば」

震災直後、変わり果てた街の姿に、黒澤さんは絶望しかなかったといいます。

黒澤健一さん:
「なんかできることないかって考えたら、みんな山から下りてくるときに、絶望的な光景が目に入るところの先に、少しでも希望めいた言葉があればなと」

そんな思いを込めて黒澤さんが仲間と立てた看板、そこには『がんばろう!』の文字が。茶色の風景の中でひときわ目を引いたのが『石巻』の鮮やかな青。

黒澤健一さん:
「石巻だけコバルトブルーになってる意味は、すごい悲しいんですけど、海が綺麗に見えたんですよ。こんな悲しいことも起きたけど、やっぱり石巻って、『海の街』だなって思って、一緒に頑張っていこうって でも頑張れる人から順番に頑張ればいいじゃないかっていう」

黒澤さんたちが立てた一枚の看板は、人々を励まし、いつしか人々の心のよりどころとなっていました。そして今、震災の記憶を次の世代へ伝えていく役割も担っています。

黒澤健一さん:
「『がんばろう!石巻』の看板が今きれいに塗り直されてるんですけど、去年の暮れに子どもたちと一緒に看板を塗り替え作業をして」

塗り替えに参加したのは、地元の中学生。全員、あの日の後に生まれた子どもたちです。      

黒澤健一さん:
「子どもたちに話を聞いたら、震災を伝えることに携われてよかったって言ってくれたりしてたので、役に立つ活動になっていればいいなと思ってます」

そんな黒澤さんは、今井さんたちが石巻を元気づけてくれたその時の光景を鮮明に覚えているといいます。

黒澤健一さん:
「あの時みんな喜んでくれていて、『震災後初めて笑った』みたいな話を聞いたとき、来てもらって良かったっていうか、数年にわたって来てもらって」

今井翼さん:
「あれだけ悲しい思いをされた方々が集まってくださって、一緒になって、笑って、ハグして、かえって僕らの方が皆さんに元気をいただいた、生かされていることのありがたみをすごく感じています」

黒澤健一さん:
「同じような感覚をあのとき感じたのかなって思って、すごく今共感させていただきました」