ドーム球場で実験してみた

実験では、ナゴヤドームの円周314メートルのグラウンド内で30台の車を走らせました。すべて同じ車種です。車は最初はスムーズに流れています。

しかし、画面右側、車間距離を詰めすぎたのか一台の車が減速すると…、後ろの車も減速して車間距離が短くなり、渋滞が起きてしまいました。これに対し反対側の画面左側では大きく車間距離が開いています。

提供:交通流数理研究会

今度は、画面の上、1台の車が減速すると、やはり後続車もどんどんスピードを落とし車の流れが止まってしまいました。「ブレーキをかけないといけない状況が生じ、それが後ろに伝わって、やがて止まってしまう」と菊池名誉教授は解説します。

提供:交通流数理研究会

ドライバーの皆さんは、一定の距離を保って走ろうとしていたようですが、渋滞が起きてしまいました。交通量の多い高速道路では、この実験と同じような現象が起きていると言えます。

特に、インターチェンジからの合流地点や下り坂から上り坂に切り替わる「サグ部」などは、車が減速しやすいため渋滞が起きやすくなると言えます。菊池名誉巨樹は、車の密度が高くなるとどうしても渋滞が起きてしまうと話す一方、渋滞を起こさない大事なポイントとして「車間距離」を挙げます。前の車が減速した際の影響を最小限に抑えられるため、渋滞が起きにくくなるといいます。