年の瀬に急きょ開かれた県警の会見

年も押し迫った2022年12月30日。宮城県警は急きょ、記者クラブに加盟する報道各社に会見の開催を通知。そこで発表されたのは「死体損壊、死体遺棄事件」で容疑者2人を逮捕したということだった。

当時の捜査本部の会見(2022年12月)

2022年に逮捕されたのが住所不定・無職の山口優被告と交際相手の前田広樹被告だった。2人は前日の12月29日、「話したいことがある。仙台市内で死体を遺棄した」などと青森県の警察署に自首。証言に基づき仙台市若林区荒浜の砂浜を捜索すると遺体が見つかる。被害者・佐藤大貴さん(当時22)の遺体だった。切断された跡があった。2人は2022年12月に死体損壊と死体遺棄の疑いで逮捕、年が明けた2023年1月に殺人の疑いで再逮捕。精神状態などを調べる鑑定留置を経て2023年5月に共に起訴された。

2022年12月に送検される前田被告(左)と山口被告(右)

2025年6月11日仙台地裁。独特の緊張感に包まれる法廷で山口被告の公判が始まる。裁判員裁判での審理となる。手続き通り、検察官が起訴状を読み上げると、改めて異様な犯行が浮き彫りになる。