■注目の対策「流域治水」
こうした中、近年、注目されているのが「流域治水」という考え方です。
「流域治水」は決壊した堤防をその都度、改修するだけではなく、流域全体で事前対策を講じるものです。その方法として河道掘削のほか遊水地や田んぼダムで一時的に水を逃がすことなどが挙げられます。かねてから「流域治水」を提唱してきた大崎市の鶴田川沿岸土地改良区で品井沼遊水地を管理する千葉榮さんです。

鶴田川沿岸土地改良区 千葉榮理事長:
「堤防を切らさないように越流堤(越水堤)を作って田んぼに水を入れる。補償も国に頼ることなく作物補償を地域皆で負担し合う。流域全体が良くならないと」
品井沼遊水地に隣接する鶴田川には堤防の一部を低くした「越水堤」が設けられています。3年前と今回の豪雨でも増水した鶴田川の水を田んぼに逃がすことで下流域の浸水を防ぎました。ただ、こうした対策には農家の協力が不可欠だといいます。

鶴田川沿岸土地改良区 千葉榮理事長:
「堤防を高くしたり護岸するだけでは防げない。地域の協力が無ければダメだ」

名蓋川の決壊について村井知事は県の責任を認めたうえで抜本的な対策を約束しました。
村井知事:
「大きな責任を感じている。4度目がないよう早いうちから計画的に抜本的な対応をする」

奥山茂美行政地区長:
「川のメンテナンスをして水が滞りなく流れることが願い」
被災者:
「今年の秋までに4回目がないように」
繰り返される堤防決壊。堤防の強化だけに頼らない流域全体を俯瞰した治水対策に転換していくことが求められています。