近年、静岡県名産のシラスの漁獲量が不安定なのはご存じでしょうか。2010年からの漁獲量をみると、2017年以降、長らく不漁が続いています。いったい、長引くシラスの不漁の原因は何なのか。私たちの食卓にも影響がありそうです。

静岡市葵区の鮮魚店「日の出」です。全国でもトップクラスの漁獲量を誇る静岡の名産・シラス。こちらの鮮魚店では、シラスを2つの卸業者から仕入れていますが、6月23日は1つの業者からしか納品がありませんでした。

<鮮魚日の出 川瀬真吾社長>
「(シラスが)入らない時が増えてきた。前までは毎日仕入れていたけど、ここ4~5年減ってきていて、5月、6月は結構少なかった。(価格は)なるべく今のままでやりたいけど、仕入れ価格が上がってきたら、販売価格を上げざるを得ないかなと思っている」

シラス漁が盛んな静岡市の用宗漁港です。23日朝は、21隻が漁に出ました。しかし…。

<篠原大和記者>
「水揚げせず戻っていく船がみられます。シラスが獲れる可能性が低いので、網を出さずに戻ってきたそうです」

水揚げができた船を見ても、25kg入るカゴ1杯にも満たない収穫。明らかな不漁でした。

<仲買人>
「ここまで極端なのは記憶にあまりないけど、3~4年は悪いよね」

シラスの不漁は、4年ほど続いているといいます。

<清水漁協 用宗支所 村越浩二さん>
「黒潮の大蛇行がシラス漁にも影響していると思う」

不漁の原因として考えられているのが「黒潮の大蛇行」です。通常の黒潮の流れは、静岡県沖をまっすぐに流れて北に向かいます。

これが、近年の流れでは、大きく曲がっています。「黒潮の大蛇行」です。大蛇行が発生したのは2017年の8月。5月の時点で、実に4年10か月と気象庁の観測史上、最も長く続いているのです。

黒潮の大蛇行は、潮の流れや水温の変化をもたらし、魚の生息範囲を変えるといわれていて、シラス漁も影響を受けているようです。

一方で、「黒潮大蛇行」がプラスに働いていると考えられているのがカツオ漁です。御前崎港では、カツオが船から次々と降ろされていました。

<南駿河湾漁業協同組合 御前崎本所 矢部政利業務部長>
「水揚げが去年の1月から5月と比べると、だいたい約20トンぐらい、今年のほうが多い」

御前崎漁港での1月から5月までのカツオの水揚げ量は、2020年から年々増加しています。魚の種類によって好みの水温が異なるため、静岡県内のカツオ漁には黒潮の大蛇行が安定した漁獲量をもたらしているようです。

港近くの鮮魚店には、朝、仕入れたカツオが並んでいました。店も安く消費者に提供できると喜んでいます。

<福泉 伊東延和社長>
「カツオは今年、ものがいいです。値段も手ごろになっているし、本当においしくいただけると思います」

長引くシラスの不漁の原因は「観測史上最長の黒潮大蛇行で漁場が変わったから」と考えられます。大蛇行が発生する事自体は、それほどまれな現象ではないそうですが、これまでは1年から2年で終わることが多かったということで、4年10か月以上続いているのは過去に例を見ない状態です。

食料品の価格の上昇が相次ぐいまだからこそ、黒潮の流れが私たちの生活に少しでもプラスになって欲しいと願うばかりです。