混乱の空港ロビー、一家に訪れた奇跡とは
翌4日になると、石垣から羽田空港に臨時便が出るという情報が航空会社のサイトで発表されます。藤浪さんたちは中部国際空港の往復航空券を持っていましたが、臨時便に乗れるか空港会社に問い合わせます。しかし、40分以上待たされて返ってきた答えは「空港カウンターでないと手続きできない」というものでした。「もうこうなると一縷(る)の望みをかけて家族をホテルに残してタクシーを飛ばしました。

空港ロビーはごった返しており、よく見るニュースの映像が広がっていました。スタッフに話をしたところ私の場合は該当しないことが判明しました」。追い打ちをかけるように、唯一予約を入れていた6日の便が台風の沖縄本島再接近により欠航になる、という通知が藤浪さんのスマホに届きます。結局2割以上がキャンセルしなければ乗れない翌日の便の空席待ちに申し込むしかできなかったそうです。
空港内のコンビニでおにぎりなどを買い足し、肩を落としてホテルに帰った藤浪さんについに奇跡が訪れます。「翌5日の午後2時すぎ発中部国際空港行きの予約に成功したのです。これはダメ元で空席待ちをしたものと同じ便。仮に空席待ちに漏れても、この予約があれば帰れる。しかも、この日も臨時便を飛ばすとのこと。ということは定期便は必ず飛ぶはず」藤浪さんはここでようやく一息つけたと振り返ります。
結局、航空会社の理解もあり、藤浪家は当初購入していた帰りのチケットを使って帰路につくことが出来ました。「カウンターでスタッフに『大丈夫です、乗れます』と言われたときは本当に涙が出そうでした。午後2時すぎ出発の中部国際空港行き。搭乗券を見返すと搭乗締め切りが午後1時55分、発券してもらったのが午後1時47分、との印字が。まさに綱渡りの『石垣島脱出』でした」。