現地では好天が家族を迎えます。「雨予報が見事に外れ、青空が広がる気持ちいい天気。石垣島からフェリーで小浜島に移動し、1日目は順調に旅行を楽しみました」

ところが、その日に航空会社から「台風による運航への影響について」というお知らせが届きます。「私は8月3日まで、妻は2日までの休暇だったため、1日延長くらいは許容範囲だなと思い、帰りの便を2日に変更しました」。こんなに天気がいいのだから何とかなるだろう。藤浪さんは気持ちを切り替え、沖縄の夏を満喫することにします。

「翌7月30日も現地は快晴。予約していたシュノーケリング ツアーを子どもと楽しみました。サンゴが広がる海を見ながらのシュノーケリングはまさに沖縄旅行のイメージで、途中、ウミガメも見ることができ、子どもたちにも好評。夜は予約した飲食店で地元の小浜島料理を堪能しました」

しかし、この日も例の「台風による運航への影響についてのお知らせ」がスマホに届いたのです。欠航を見越して、便を8/3に変更。奥さんは職場に一報を入れるなど、少し心配の度合いが増してきたと振り返ります。

子どもたちがどうしてもやりたいといったガラスの工芸を体験するために翌日、石垣島に戻った藤浪さん一家。工房の先生から「島では台風が来ると物資の輸送が止まるので早めに食料を買いだめしておいたほうが良い」とアドバイスを受けたため、コンビニでカップラーメンや日持ちするパンを1人2食分ほど購入し備えたそうです。

やはり来た欠航の連絡、チケット争奪戦に参入

天気が崩れ始めたものの、外出はできる程度だった8月1日。藤浪さんは日本最南端の商店街で実家や会社へのお土産を手配し、さらには台風に備えて子ども向けの本も買い込んで備えます。「夕食もお店でとることができるなど、街の様子は落ち着いていました」と話す藤浪さん。しかし翌日から、旅の計画が大きく崩れていくことになります。

「それまでは影響のお知らせだったのが『欠航のお知らせ』に変わり一気に緊張感が高まりました。3日の14時に石垣島を出る便を予約していたのですが、チェックイン1時間前に欠航となりました」藤浪さんはここからスマホでの予約争奪戦に巻き込まれることになります。

「私たちのように島から出られない人たちが多くなり、やっと取れた予約は4日後の7日のフライト。しかも那覇経由だったので、台風の進路次第では再び欠航するリスクがありました。ここから私はスマホに張り付きました。各社の運行や航空会社3社くらいの空き状況を常にチェックして、より早く出発する便を探したのです。子どもたちに『きょうは動画見放題だよ!』と宣言して妻も参戦。苦労の末、1日早い便をゲット!那覇空港経由だったものの、1日早くなるだけでもありがたいと感じていました」

3日の時点で藤浪一家がそもそも買ってあった帰りの便の振り替え便は早くても8日。余分な出費は痛いのですが、一刻も早く帰ろうと、それより前の便を探していたところ「何と翌日の直行便の予約画面まで進めたんです。この際、振替便は無駄になってもいいと腹をくくりましたが、決済しようとしても画面がまったく反応しません。そうこうしているうちに無常にもこの便の欠航のお知らせが届いたのです」