コロナ禍でも繰り返された

<国立駿河療養所 北島信一所長>
「病気の名前は違うが、かつてハンセン病に罹患した方々やその家族が受けた差別と共通するものがある。教訓が生かされていなかった。今回、新型コロナが同じようなことが繰り返されている」
正体が分からないものに相対した時に、差別や偏見が生まれる。SNSが普及した現代、正しい情報を入手しやすくなった一方で、偏った意見やデマに触れる機会も大幅に増えた。
声高に発信する人の意見に、身を委ねることは楽だが「本当に正しい情報なのか」「自分はどう思うのか」を改めて考え続けなければ、暗い歴史は繰り返される。
「最も感染力の弱い感染病」といわれ、治療法が確立されてからすでに40年以上経ってもなお、人目につかぬ場所でひっそりと暮らし続ける元患者の姿を目の当たりにし、「正しい知識を持ち、正しく恐れる」ことをどう伝えていくべきなのか。私はきょうも、自問自答を繰り返している。
(静岡放送・竹川知佳)