静岡県とJR東海が対立するリニア工事のボーリング調査について新たな展開です。県が主張する静岡の水が流出するという懸念に対し、JR東海の丹羽社長は、水が静岡のものか山梨のものかを判断する調査に前向きな姿勢を示しました。

<JR東海 丹羽俊介社長>
「当社は丸井委員からご提案のあった方法に基づいて、データを取得して、静岡県から山梨県にどれだけの水が流出するのか、丸井委員の判断を受けて静岡県と対話をしていきたい」

6月8日、定例の記者会見に臨んだJR東海の丹羽社長。言及したのはボーリング調査で出る水が静岡のものか山梨のものかを判断するという話です。リニア新幹線の工事を巡り7日に開かれた県の専門部会では、山梨県で行われているボーリング調査について再び議論されました。この会議の中で丸井委員が持ち出したのが、水はどちらのものか判断する方法でした。

<専門部会 丸井敦尚委員>
「山梨県の水、静岡県の水、それぞれサンプリングして、水質や水温とか何かキーになるものを最初に見つけておけば比率が把握できる」

いま県とJR東海の対立軸の中心になるのがボーリング調査。トンネル工事を見据え、地質や湧き水の量を調べるための調査ですが、県は地下水の流出を懸念し、JR東海に対し、県境300m手前で工事をやめるよう求めています。要するに静岡県の水が県外に出ていく恐れがあると主張しているのですが、JR東海の丹羽社長は丸井委員が提唱する調査によって水がどちらのものか一定の判断が示されれば、議論が進むということを期待しているとみられます。

その一方で、リニア建設を促進する期成同盟会の会議で山梨県の長崎知事が示した「静岡空港新駅」構想には改めて難色を示しています。

<JR東海 丹羽俊介社長>
「東海道新幹線の高速で都市間を結ぶという性能が発揮できなくなる。プラスの効果をもたらすことにはならない。設置することは難しい」

なかなか進展しないリニア問題ですが、県とJR東海がどこまで歩み寄れるのか、いまだ見通しはついていません。