東京ドームの雰囲気変える

さらに、今年は野球部からの希望で新曲を披露。メジャーリーガーの登場曲で一躍有名となった『Narco』を奏でるトランペットのハイトーンに、皆が酔いしれた。さらに、SNS上で“ドラムニキ”と呼ばれるドラムの激しいビートがファンのテンションを高ぶらせる。演奏会やコンクールとはまた違った、“もうひとつの顔”の演奏が聞きたくて、ヤマハ応援席にやってくるという吹奏楽ファンも多いという。

試合は2回、ベテラン矢幡勇人選手の3点本塁打が飛び出すと、得点時に演奏される『天国と地獄』が響き渡る。応援に来た社員やファンが歓声を挙げながら一心不乱にタオルマフラーを振り回す。「バンザ~イ!バンザ~イ!」。“匠のオト”が東京ドームの雰囲気を変えた瞬間だった。

試合終盤には、『黄色いリボン』『草競馬』『サンバデジャネイロ』を繰り返す十八番の「エンドレス」演奏にあわせ、約7,500人の大応援団は「Y・A・M・A・H・A」の大合唱。チームも4対1で見事初戦を突破した。結局、ヤマハはこの大会ベスト4まで勝ち上がった。

「みなさん、テンションが上がって演奏のピッチが速くなったがそれもいい」とほほ笑む佐藤さん。「すごく熱い演奏になった」と勝利をかみしめた。宇江原さんは「野球応援では後押しする演奏を心掛けるので、普段はお客様に音楽を届ける感じだが、きょうは熱量を届ける感じ。“ヤマハのオト”を届けることができた」と充実の笑顔を見せた。