静岡県が浜松市に建設を計画する新たな野球場をめぐり、浜松市の中野市長らは知事と県議会に対し多目的ドーム型の整備を求める要望書を提出しました。
事業費が膨らむ中、竹内良訓議長は「旗を降ろすのであれば政治家としてまずは知事が話すべきだ」と踏み込んだ発言しました。
鈴木知事のもとを訪れたのは浜松市の中野祐介市長や経済界の代表など4人です。県が浜松市に建設を予定する野球場についてプロ野球も開催できる多目的ドーム型スタジアムの早期建設を求めました。

新たな野球場は▼1万3000人規模の屋外型、▼2万2000人規模の屋外型、▼2万2000人規模の多目的ドーム型の3つの案が検討されています。しかし、ドーム型の事業費は資材の高騰によって当初の試算より80億円増額し、450億円かかる見込みであることが判明しています。
<鈴木康友静岡県知事>
「当時あまり浜松市長として県の財政状況を考慮せずに要望だけしてまいりまして、逆に県のトップになってみますと大変厳しいな」
鈴木知事は浜松市長時代、多目的ドーム型球場の建設を求めてきましたが、知事の立場になってからは財政状況を踏まえ慎重な姿勢です。
<浜松市 中野祐介市長>
「本体についてはぜひとも県にお願いしたいと思っているところではあります。県西部地域全体の活性化にもつながるような街づくりを我々の方でやっていきたいと思っています。そういう役割分担かなと」
その後、県議会の議長と副議長にも要望書を手渡しましたが、2人からは本音が打ち明けられました。
<県議会 中田次城副議長>
「浜松市や浜松の経済界の皆さんがどれだけの負担を一方でしてくれるんだろうと。全部県に持ってこられてもそれはなかなかそう簡単に答え出ないですよねというのが、浜松地域以外の中部・東部の県議会議員の皆さんの大方のお考え」
<浜松商工会議所 斉藤薫会頭>
「地元にすれば、県の施設が静岡市を中心にある。西部に何も投資してもらってなかったという過去の実績もあるし。すごく不公平感を地元は持っているんですよ」
<県議会 竹内良訓議長>
「もし旗を降ろすのならば、政治家として知事がまずは言うべき話であって、知事とも我々議長・副議長でこの話は遠くないうちにしないといけないかなと思っています」
知事は、民間投資の可能性を探っていますが多くの静岡県民が納得する答えを導き出せるのか、手腕が問われています。