製造させたツナ缶にゴキブリが混入し、ブランドイメージが傷ついたなどとして、販売元の「はごろもフーズ」(本社:静岡市)が損害賠償をもとめた裁判で、下請け会社が猛反発です。クレーム対応で増設した電話回線の設置費用などを押し付けるのは、不当だと主張しています。

会見を開いたのは、はごろもフーズの下請け会社として、ツナ缶を製造していた興津食品です。2016年、山梨県内のスーパーで販売された「シーチキンLフレーク」からゴキブリが見つかり、その後、下請け会社だった興津食品の製造過程で混入したことが判明。

はごろもフーズは、ブランドイメージの低下による売上げの減少やコールセンターの設置などに追われたとして、損害賠償を求めて訴訟を起こし、11月8日に静岡地裁が興津食品に対して、およそ1億3000万円の支払いを命じていました。興津食品はこれを不服として、17日控訴したことを明らかにしました。

<興津食品の代理人弁護士 増田英行弁護士>
「下請けを使うことで大きな利益を上げている会社が、事が一つ起こって、対処した費用を下請けに付け替える。それは果たしていいのか、分かってほしい」

興津食品は、はごろもフーズがクレーム対応で増設した電話回線の設置費用や売り上げの一部を損失補填するよう下請け会社に押し付けるのは不当だと主張しています。

一方、はごろもフーズは「係争中であり、コメントは差し控えさせていただきたい」としています。

<伊豆川洋輔記者>
「興津食品の製造工場や事務所があった場所は更地になっていて、撤去から時間の経過を感じます」

興津食品は、業務のほとんどがはごろもフーズからの受注であったため、製造が止まったことでほぼ廃業状態に。興津食品の代理人弁護士は、今回の訴訟について「偶発的に人体に影響のない食品に関する事故が起きた際、どこまで下請け企業の賠償が問われるのかを世に問いたい」としています。