静岡県牧之原市のこども園で通園バスに置き去りにされた園児が死亡した事件で、園を運営する学校法人に静岡県が10月14日、改善勧告を出しました。保育所を対象とした改善勧告は静岡県内では初めてです。

10月14日、静岡県が改善勧告を出したのは、牧之原市の認定こども園「川崎幼稚園」を運営する学校法人です。9月5日、川崎幼稚園では、園に通っていた女の子(当時3)が通園バスの中に約5時間取り残され、重度の熱中症で死亡しました。

<静岡県 福祉長寿局 浦田卓靖局長>
「送迎バスの運行マニュアルを整備しておらず、降車確認の実施者が定められていないうえに、人数確認の手順が示されていないなど、バス利用園児の安全が確保されていませんでした」

静岡県は牧之原市と実施した特別監査の結果、川崎幼稚園において、安全確保のための組織的な体制整備や送迎バスの運行体制、登園管理体制など5つの法令違反を確認。バスの降車確認や登園管理のルールが職員に徹底されておらず、あやふやに運用されていたことが女の子の死につながったと判断しました。

保育所を対象とした改善勧告は静岡県内初で、改善が図られない場合や期限までに報告がない場合は、改善命令や事業停止命令が出されることになります。

一方で、年に1度の監査を行っているにも関わらず、川崎幼稚園の実態に気づけなかったことについて、県は「今後の監査の在り方を見直したい」としています。

園の地元、牧之原市長は…。

<牧之原市 杉本基久雄市長>
「これで終わったということではまったくない。(法人は)市民に対して、保護者・ご遺族に真摯な姿勢で信頼回復に努める、これが重要であると思っている」

改善勧告を受けて、学校法人「榛原学園」の増田多朗理事長は「改めて、幼い命を奪ってしまった事故の重大性を痛感しております。十分な安全管理体制を実現するとともに幼稚園の信頼回復に務める所存です」とコメントを出しました。

※静岡県福祉長寿局の浦田卓靖局長の名前が誤って表示されていました。お詫びするとともに訂正します。