かつて林業で栄えた静岡県浜松市天竜区の山あいにある「水窪(みさくぼ)」という町は、大正時代に起きた大火の戒めとして、「ぎおん」という呼ばれる風習で、1年に2日間だけ花火をすることが許されている。この不思議な風習を律義に守る火に敏感な集落で、独居高齢者による放火事件が起きた。
今回の事件は偶然ではなく、男の孤立に伴う予兆があった。
少子高齢化が進む日本において、独居老人による万引き、傷害、そして、放火などといった事件は、全国で増加している。
『人が老いる』ということ。
孤独感を募らせ、思考が偏り、自暴自棄となる高齢者。
今回の事件は、現代の福祉体制の限界を象徴し、最悪とも言える結末となった。
高齢者支援・福祉の在り方を再考すべきタイミングであることは明らかで、このままでは同様の事件は増える一方だろう。