妻を殺害した罪に問われている元県議の裁判員裁判で、26日、検察側は懲役20年を求刑しました。
丸山被告は「私が殺すはずがない」とした上で、自らが犯行を行った場合の成功率は「5%に満たない」と無罪を主張しました。


希美(のぞみ)さんの姉:
「大切な妹であり親友のようなかけがえのない存在でした」
「今でも受け入れることはできません」

26日の裁判では、遺族の意見陳述が行われました。

時折涙声で心情を訴えたのは、殺害された希美さんの姉です。

希美さんの姉:
「一方的で身勝手な行動により人生を変えられてしまいました」
「犯人はどんな処罰を受けても許すことはできません」

この様子をじっと見つめて話を聞いていたのは、元県議会議員、丸山大輔被告50歳。

3年前の9月29日、塩尻市の自宅を兼ねた酒蔵の1階事務所で、妻・希美さんの首を何らかの方法で絞めて、殺害した罪に問われています。

丸山被告:
「妻を殺害したのは私ではありません」

10月16日の初公判で、無罪を訴えた丸山被告。

1か月以上にわたって18回の審理が行われ、26日は検察と弁護側が最終的な意見を述べました。

検察側は丸山被告の犯行であることの立証は十分であると主張。

現場に残された足跡は出入口から金庫に向けて一方通行で、被告が希美さんを殺害後、物盗り犯を装った被告がつけたものと認定できること。

犯行時間帯に被告が「翌日の一般質問の準備をする」と言ったものの、パソコンで文字を入力せずにアリバイ工作をしたこと。


事件の数週間前には元不倫相手のAさんに妻と離婚するなどと嘘をつき、2人で会っていたことや、事件後には結婚を迫っていたこと。

これらの状況などから丸山被告以外の第三者が犯人であることを合理的に説明することは極めて困難であり、犯人は被告以外にあり得ないと主張しました。

最後に、被告は様々な偽装工作を重ねるなど、犯行は極めて計画的で、悪質さも際立つなどと指摘。

殺人罪の有期刑としては最も重い懲役20年を求刑しました。

一方、弁護側は改めて丸山被告の無罪を主張しました。

現場に残された足跡には被告が偽装工作をしたという証拠はないこと。

事件前日の夜から朝にかけて議員会館の外にいたところを誰にも見られておらず、アリバイ工作はしていないこと。


被告にAさんと結婚する思いや希美さんと離婚するつもりはなかったことなどから、検察側は丸山被告が犯人であることを合理的な疑いが残らない程度に証明できていないと主張しました。

また、午後3時前ごろからは丸山被告がおよそ20分間にわたって、最後の意見を述べました。

丸山被告:
「私が殺すはずない。殺人という恐ろしいことをできるはずがない」

丸山被告は、妻と離婚する気はなかったこと、検察が指摘する借金の問題や実家からの選挙の支援がなくても当選できたとして、希美さんを殺害する動機がなかったことを説明。


また、検察の偽装工作の主張は「不確か」だとして、希美さんは犯人と鉢合わせとなり襲われたことや、現場で第三者のDNAが検出されたことなど、自らポイントを上げ、第三者の犯行を示す証拠もあると強調した上で、自分が犯行を行うにはリスクが多すぎ、自らが犯行を行った場合の成功率は「5%に満たない」と無罪を主張しました。

丸山被告:
「あり得ないことをやったと言われている」
「わたしは仕事を失い、何もありませんけど、母親を失った子どもたちを見守っていくことはしなければいけないし、希美も望んでいると思います」

元県議会議員が妻殺害の罪に問われるという事件の裁判は、26日で結審し、判決は12月23日に言い渡されます。