有害獣として駆除された後、多くは捨てられてしまうシカやイノシシの皮を無駄にしたくないと、小物やアクセサリーに加工して販売している女性が岡山市北区建部町にいます。このほど、自分で小物づくりを楽しめるレザークラフトのキットが完成しました。粘土のように形が変わるという不思議な革です。

(建部獣皮有効活用研究所 頼本ちひろ代表)「こちらに入っている『かわねんど』というものなんですけれども」

その革は粘土のように柔らかく固まると可愛らしい小物に生まれ変わるのだといいます。

(建部獣皮有効活用研究所 頼本ちひろ代表)「触った感じが革なのでなめらかで、皮膚というか…命を感じていただけたらなと思います」

山々に囲まれ野生動物も多く棲む岡山市北区の建部町。2016年に京都府から家族とともに移住し、「建部獣皮有効活用研究所」の代表として制作活動を続ける頼本ちひろさんです。

(建部獣皮有効活用研究所 頼本ちひろ代表)「肉のほうはだんだん消費されることが増えてきてはいるんですが、皮はどうしても使えないと廃棄処分されているところがとても多いです。使ったらすごく魅力的なものができるのに使われないで捨てちゃっているというのがすごくもったいないなと思います」

田畑を荒らす厄介者として人々を悩ませるイノシシやシカなどの獣。駆除は止むを得ないとしても命ある生き物。その皮も無駄にはしたくないという思いで頼本さんは「ジビエレザー」と向き合ってます。一つ一つ風合いが異なる、個性の強い皮をどう生かすか、手探りで試作を重ねました。研究所を立ち上げて6年。ユニークな商品が次々と生まれています。

(建部獣皮有効活用研究所 頼本ちひろ代表)「続けていくうちに、だんだん個性というか特徴がだんだんつかめてきたので、レザーの特徴を生かせるようなものづくりができてきたと思います」

ジビエレザーに触れて、知って、考えてもらいたい…。レザークラフトのキットとして新たに考案したのがこの「かわねんど」。

(建部獣皮有効活用研究所 頼本ちひろ代表)「シカ革でつくるとものすごく柔らかくて形が作りやすくて、特別な道具を使わなくても手だけで作れるので」

革にはまず油性ペンで色を塗ります。こちらは今年の干支(【画像①】)

【画像①】今年の干支をかわねんどで…

(建部獣皮有効活用研究所 頼本ちひろ代表)「ここからがポイントです。一般的に革製品ってあまり濡らしちゃいけないんですけど、これは濡らすことで初めておもしろくなる」

細長い龍のひげもこの通り。もともとの風合いを残すタンニンでなめした革は、濡らすとまるで粘土のように形を変えることができ、乾くとそのまま安定します。

お好みで革の内側に色を塗れば毛羽立ちが動物の毛のような風合いに。指や道具を使って顔や体の丸みなどを表現して仕上げます。

(建部獣皮有効活用研究所 頼本ちひろ代表)「ぎゅーっと引っ張って丸くしてあげます。思いっきりやって大丈夫です」
(後藤克弥記者)「ちょっと怖いんですけど」

破れずにきちんと形になっていく。自由な発想で色を塗って自分だけの作品に。現在龍とパンダを販売中ですが今後、トラやウシ、恐竜なども加わる予定です。(【画像②】)

【画像②】かわねんどのトラ、恐竜など

(建部獣皮有効活用研究所 頼本ちひろ代表)「もともと命があるもので山を駆け巡っていた動物だということを考えながら大事にさわっていただけたらなと思います」

動物の皮は形を変えて別の生き物に…楽しく作品をつくりながら自然への感謝の気持ちも生まれてくるようなレザークラフトです。

「かわねんど」は研究所のオンラインショップのほか、岡山市北区表町の「晴れの国おかやま館」でも購入できます。