河川敷に現れた紅のテント。そして周辺の光景までも舞台となる野外演劇です。

1960年代~1970年代演劇界で革新を起こした劇作家、唐十郎さんが作った劇団の10年ぶりの岡山公演が6月19日に行われました。令和になっても色褪せない公演に観客は魅了されました。

■野外演劇の公演が行われた場所は...

「ここから飛べそうな気がします。決して(傘が)おちょこにはならんでしょう」
「飛んでどうすんだい」
「メリー・ポピンズになるんです。おちょこの傘持つメリー・ポピンズ」

実話を元にした1976年初演の作品です。大物歌手のスキャンダルを発端に起こる人間模様を描いた名作です。どこか昭和の雰囲気を醸す舞台があるのは…

岡山市の中心部を流れる旭川の河川敷。劇団唐組の象徴である紅テントで行われた岡山公演の千秋楽です。普段は静かな旭川沿いに約200人が集りました。

(倉敷から訪れた観客)
「自然の中で演劇を観るってなかなか無いのでワクワクしてます!」

(鳥取から訪れた観客)
「前回来た時もこのくらいの距離まで詰めたのに、まだ前に詰めてくださいって。そういうのが面白いなと」

■旭川河川敷にやって来たのは、あの唐十郎さん率いる「唐組」

「唐組」は1960年代~70年代全盛期を迎えた舞台演劇“アングラ演劇”の流れを汲む劇団です。座長は、演劇界で革新を起こした劇作家・唐十郎さん。劇空間のもつ力を重視したパワフルで刺激的な作品を数多く生み出しました。

「お客様、手をあげている劇団員を先頭に一列でお並びください」

観客の案内もチケット販売をするのもすべて劇団員。この光景が前身である“状況劇場”から半世紀以上変わらない劇団の姿なのです。客と演者との距離も近く、既成概念にとらわれない演劇で幅広い世代を魅了し続ける唐組。その岡山公演を実現させたのが…

「きのうは200人超えていましたね。ほぼ満席」

NPO法人アートファーム代表の大森誠一さん。岡山河畔芸術祭と題して10年ぶりに唐組を招きました。地方では困難とされた舞台公演などを数多く誘致してきた大森さん。岡山芸術創造劇場ハレノワの竣工を間近に控える中、おひざ元の旭川周辺で“アングラ演劇”を上演し、岡山の芸術文化の機運を高めたいといいます。

(NPO法人アートファーム 大森誠一代表)
「10年前以上に若い人が多い。こういう形式の公演って若い人も関心があるんだって思う。風の音だとか電車の走る音だとかも、テントの中に、劇場の中に聞こえてきます。2時間くらい“夢”のような世界が繰り広げられるという不思議な世界ですよね」

中心市街地での野外演劇で世代を問わず芸術に触れてもらいたい。物語の設定や台詞を変えず、演技への情熱を脈々と受け継いできた唐組に大森さんはその思いを託しました。