「福祉ネイル」は認知症進行の予防にもつながる?!

日本保健福祉ネイリスト協会によりますと、回想法といわれる「覚えている古い記憶を辿り、言葉にすること」は、脳へ刺激などから認知症進行の予防につながると言われていて、この技法がネイルアートを施すときに活かされています。

(福祉ネイリスト 神本智加さん)
「福祉ネイルでは1本の指に絵を描くのですが、どんな絵を描くかと言うと例えば、話しているときに昔飼っていたペットの話...『猫のミーちゃんが…』と話してくれる。そのときに『ミーちゃんって何色だった?』と聞いたら『ミケだったな』って。過去の記憶を自分の中で蘇らせながら話をするのも意味がある」

神本さんは2年前、福祉ネイリストの資格をとることができる岡山県内初の教室を開校。受講生らは技術だけでなく、認知症や介護などの知識も身につけます。
(教室での会話)
(神本智加さん)「ここでやってと言われたら横向きで塗ることも」
(受講生)「ベッドとかでね」
(神本智加さん)「そうそう。指が固まってしまっていたりとか、手が伸ばせなかったりとかする方もいるので、相手の体勢に合わせて塗れるように練習してもらいたい」

岡山県内唯一のこの教室から、約30人の福祉ネイリストが誕生しています。
(受講者)
「彩りがある時間をつくってあげられる福祉ネイリストになりたい」
「長く続けていきたい。自分にもできるし」
岡山県内各地から訪れた受講者たち。「福祉ネイル」の取り組みが、真庭市から県内全域に広がろうとしています。
(福祉ネイリスト 神本智加さん)
「私自身、福祉ネイリストを取得して活動しようと思っても、サロンをしながらになってしまうので活動に限界がある。多くの方に『広げたい』『届けたい』と思ったときに、一緒にがんばっていける人がいたらいいなと」

「福祉ネイリスト」を増やし、多くの人にネイルアートやハンドケアを届けたい。そこにあるのはオシャレの楽しさを忘れないでほしいという純粋な思いです。
(福祉ネイリスト 神本智加さん)
「誰もが『福祉ネイル』を知っている世の中になることと、ネイル自体が若い子だけのものではなく、いつまでも楽しめるオシャレという風に当たり前にしていくことが今の目標」

オシャレだけでなく人と人との会話も生み出すネイルアート。何歳になっても豊かな毎日を送れるように…指先の彩りが一筋の光となり得る福祉ネイルです。
【解説】
認知症の進行を防ぐことにもつながるという「福祉ネイル」です。「回想法」という技法のほかにも、認知症ケアで重要と言われる「見る」「話す」「触れる」「立つ」などの動作を通して、「相手を大切に思っている」と伝えることを福祉ネイルを行う中でも取り入れているということです。
これらの行動を通して、「相手を大切に思っている」と伝えることで、自己肯定感の向上や心の安定、認知症の問題行動の抑制などにつながるとも言われています。
オシャレを楽しむことが健康に長生きすることにつながるのは素敵です。男性は、ハンドケアなどを楽しむこともおすすめだそうです。