■大岡さんはなぜ「岡山の地」を選んだ?

岡山を選んだ理由。それはマスカットに代表される100年以上のブドウ作りの歴史でした。しかし、帰国した大岡さんが見たのは、増え続ける耕作放棄地。害虫や不法投棄の問題も生んでいました。逆にチャンスと捉えました。

(自然派ワイン醸造家 大岡弘武さん)
「今までは日本ではなかなか農地が見つからなかったのが、今は逆にチャンスで、いっぱい土地があるのでそれを使ってブドウ栽培をしてワインを造っていければなと思います。」
再利用すれば、放棄地の問題解決にもつながります。農業人口の減少にも一石を投じたいと自然派ワインに関心を持つ市民を募り、「おかやま葡萄酒園」を立ち上げました。

(参加者)
「なかなかできない体験なので、これでおいしい葡萄ができればいいなと」

(自然派ワイン醸造家 大岡弘武さん)
「ぶどうを栽培しながら、自家用のワインが年に200本くらいできれば素敵だな、というところからスタートしているのが、狙いとしては耕作放棄地を減らしていく」
■日本の風土に適した「新たな品種」にも挑戦
大岡さんは、日本の風土で育てやすい品種の改良にも取り組んでいます。タッグを組む林慎悟さんは、異なるブドウを掛け合わせ新たな品種を開発する「育種家」です。開発がうまくいけば葡萄酒園でも栽培し、全国の農家に広めたいと考えています。

(育種家 林慎悟さん)
「僕自身がワインの品種を作っていて、この地域をワインで盛り上げるいい方法がなにかないかと。」



掛け合わせたブドウの木が実をつけました。試しに醸造すると…
(自然派ワイン 醸造家 大岡弘武さん)
「ワインっぽいですよ」
「ふくよかでボリュームもあって、ブドウが熟していて悪い要素は一つもない。これがいっぱいできれば造り手は喜びます。いけると思います。」
(育種家 林慎悟さん)
「よかった」
(『BRUTUS』編集部 渡辺泰介さん)
「今はまだ始まったばかりなんです、最初の段階でたくさんの人が志を持って大岡さんのところに集まって取り組んでいく。その拠点に岡山がなっていく。」