中学校の部活動について岡山市は2029年度に指導者の地域への移行を目指しています。今年度、大学生を指導者として中学校に派遣する「モデル事業」が始まることになり、学生を対象にした研修が環太平洋大学で行われました。

(岡山市教育委員会学校体育係 寺尾知浩さん)「岡山市は皆さんの若いパワーを必要としています」

中学校の部活動に指導者として派遣されるのは大学生です。環太平洋大学で行われた研修には、野球部に所属する2年生の4人が参加しました。昨年度、政府は「教員の負担軽減」や「指導者不足」などの課題解決に向け、学校の部活動について「地域連携・地域移行」する方針を打ち出しています。

国の方針を受け岡山市では、2029年度に「部活動の完全地域移行」を目指していて、今年度からモデル事業として環太平洋大学の学生が東区の瀬戸中学校に派遣されます。

(岡山市教育委員会学校体育係 寺尾知浩さん)「皆さんはまだ学生なので教わる立場ですが、今度皆さんが行く学校では先生としてみられます。友達ではなくて指導者・先生としての立場を理解して行動してほしい」

研修で学生たちは、体罰の根絶やSNSでの個人情報の取り扱いなど指導者としての心得だけでなく、部活動以外の学校生活で「生徒と接する注意点」などについてレクチャーを受けました。

例えば、指導する学生が生徒から手紙を貰った際には学生は直接生徒とやり取りをせず、まずは顧問に報告するなど、学生は心配なことがあれば顧問と相談して行動することが求められます。

(参加した学生)「選手との関わり方だったり色々相談されることもあると思いますが、間違いのないように指導していきたい」「個性を大切にしながら指導していければ」
(岡山市教育委員会学校体育係 寺尾知浩さん)「指導というところに興味をもって頂いて、ぜひともこれに携わった人の何人かが教職を目指してもらって、共に学校教育を盛り上げていければ非常に嬉しい」

学生の部活動の指導は7月上旬から始まり、野球部のほかサッカー部やソフトテニス部など8つの部活動に派遣される予定だということです。
(スタジオ解説)
今回、岡山市がモデル事業として行う「部活動の地域移行」ですが、基本として毎週土曜日の1回4時間、計20回で「顧問の補助として指導にあたる」ということです。

ちなみに、部活動に対して保護者の求めていることの調査結果がこちらになります。「勝利至上主義」というよりは、①「体力・技術向上」②「友達と楽しく活動できる」といったように「スポーツの楽しさや人間関係を学ぶ場」として期待していているようです。

この部活動の地域移行について、岡山市ではこのほかにも、京山中学校や岡北中学校に岡山大学の学生を派遣することにしています。また、サッカーJ2のファジアーノ岡山は岡山大学教育学部附属中学校のサッカー部に指導者を派遣する協定を結ぶなど、エリアにおいて今後、地域移行の進展が期待されます。
