利用客の減少で、存続が危ぶまれているJR芸備線についてです。

昨年、JR西日本が、再編を含めた議論の場を求め国に相談を持ちかけて以来、JRと沿線自治体による話し合いが本格化しています。

JRは芸備線の今後をどう考えているのか。JR西日本岡山支社の藤原乗将支社長に話を聞きました。


利用者の減少で一部区間が慢性的な赤字に陥っている芸備線。自治体などが存続を求める一方で、JR岡山支社の藤原支社長は、地域の交通体系を鉄道に限って考えるべきではないと語りました。

(JR西日本岡山支社 藤原乗将支社長)
「ご利用いただいている方で、無くなったら困るという声はいただいている。ただそれが鉄道でなければならないのか」

長距離・大量輸送に適した鉄道を、過疎地域で維持することが地域のためになるのか。

芸備線の一部区間では利用者が1日0人の駅もあり100円を得るため3858円がかかっています。このため上下線で1日10本程度となり、利便性は著しく損なわれています。

(JR西日本岡山支社 藤原乗将支社長)
「負のスパイラルと言われれば、そのような捉え方はあるかもしれないが、負のスパイラルを促進しようと取り組んでいるわけではない。何とか地域のみなさまのお役に立てるのではとの思いで取り組みはしているが、利用しやすい体系になっていない」

(地域住民)「高校生が朝2~3人しか乗らない」

(地域住民)「新見の病院にもバスで行く人が多い」

鉄道よりも維持費が低いバスであれば停車駅や本数を増やすこともできる。藤原支社長は、地域に最適な交通体系をいまこそ考えるべきではないかと訴えます。

(JR西日本岡山支社 藤原乗将支社長)「少なくともいま議論になっている線区については、私どものスタイルでの鉄道運行がご利用しやすい地域のために最適な交通体系になっているだろうか」


自治体はこれまで利用促進策の話し合いには応じたものの、再編を含めた議論は認められず聖域となっていました。

ところが、JR西日本は昨年、話し合いの場を求め国に相談。全国でローカル線の赤字が深刻化していることも背景となり先月、法律が改正されました。

今後、JRが望めば、国と関連自治体を交え再編に関する議論が可能になります。JR西日本はいかなる議論を求めるのか。考えを聞きました。

(JR西日本岡山支社 藤原乗将支社長)「何か鉄道から選択肢を変えるときには、どのくらい負担が発生するのか、その後の運用に対してどのくらいの負担があるのか、それを冷静に考えた上で、将来に向けて維持・発展できる交通体系はどうかという目線での検討があり、その選択肢を取ったとき今よりもご利用状況が便利になるのかどうか、そういった視点での将来のあり方の議論になる」

地域に必要な交通体系は、「鉄道」なのか。

実状に合わせた議論とともに住民を交えたまちづくりの視点が必要だと藤原社長は訴えます。

(JR西日本岡山支社 藤原乗将支社長)「円滑に地域内や地域間を移動できる手段があることは、地域の活性化や経済の発展に寄与できる要素だと思う。そういう環境はつくっていきたいし残していきたい。どういう街にしたいのか、街づくりの観点も踏まえながら地域にふさわしい最適な交通体系を一緒に考えていきたい」