地球科学の基盤を前進させる社会的意義

660 km不連続面の仕組みが明らかになったことで、地震や火山活動を生み出す地球内部の物質や熱の流れを、これまでより正確に理解できるようになります。

またマントルの組成や地球の進化モデルの見直しにもつながり、地球科学全体の基盤を大きく前進させる成果といえます。

研究を主導した石井准教授は、今回の成果についてこう述べています。

「地球深部の研究は、地球がどのように生まれ、どのように現在の姿になったのか、そして地震や火山活動がどのように起きるのかを理解するための学問です。

その視点から今回の成果を説明すると、地球の深いところに広がるマントル(地下約2900 kmまで)が、『パイロライト』と呼ばれるほぼ同じ成分の岩石でできていることが明らかになりました。

これまでは、沈み込んだプレート由来のさまざまな岩石が混ざっている可能性も指摘されており、議論が続いていました。

マントルが均質だとわかったことで、地震の揺れ方から地下の構造を読み解く際に、より正確な判断ができるようになります。

材料の情報がそろっているため、地域的な地震波の伝わり方の違いを『温度』や『そこにある材料』の違いとして理解しやすくなるからです。

また、私が研究している660kmの境界がどのように生まれるのかといった、地球内部の構造や進化の姿も、これまでよりはっきり描けるようになります。
このような知見は、将来的に地震や火山活動の成因を考える上でも、重要な基礎知識となります」