「均質なパイロライト」としての地球マントル

さらに、この研究成果は地球マントルの組成論にも重要な示唆を与えています。

今回発見されたガーネットとリングウッダイトの連動反応は、マントルが「パイロライト※と呼ばれる均質な組成を持つ場合にのみ起こります。

パイロライトとは、地球マントルの化学組成を示す代表的なモデル岩石であり、オリビン、輝石、ガーネットなどの割合をもとにしたモデルで、地球内部の物質循環やマントル対流を理解するための基準として広く使われています。

複数の岩石の「寄せ集め」で構成されたマントルでは、この連動反応は起こりません。つまり、今回の成果は地球のマントルが「さまざまな岩石の寄せ集め」ではなく、均質なパイロライト組成で構成されている可能性が高いことを強く支持するものでもあります。

※パイロライト(pyrolite):地球のマントルがどのような化学組成をしているかを示す「代表的な モデル岩石」。地球の内部は直接見ることができないため、地震波の伝わり方や火山噴出物の化学組成、隕石の成分など、さまざまな情報を組み合わせて推定されている。その結果、マントルは特定の岩石が混ざり合った複雑な寄せ集めなのか、パイロライトと呼ばれる“平均的で均質な組成”を持つのか、議論が続いている。 パイロライトは、上部マントルに多く含まれる鉱物(オリビン、輝石、ガーネットなど)の割合をもとにしたモデルで、地球内部の物質循環やマントル対流を理解するための基準として広く使われている。今回の研究で明らかになったガーネットとリングウッダイトの連動反応は、このパイロライト組成のマントルで起こるが、複数の岩石の寄せ集めで構成された岩石では起こらない。 この違いが、地球の内部が“均質なパイロライト”である可能性を強く支持している。