獲物側の視点からみるモズの恐ろしさ

ー獲物側からみると、モズは怖いですね。

「獲物にされる虫からすれば、モズはまさに恐怖の象徴でしょう。バッタのジャンプ力も、カマキリのカマも、モズのクチバシの前では無力。

突如上空から襲い掛かってきて、あっという間に連れ去られ、尖ったものの上にグサッとひと突き…。とんでもないハンターです。

ただし、モズにとっても昆虫は重要なエネルギー源であり、空き地や田んぼの虫が豊かな年ほど私たちの身の回りでのモズの繁殖も安定します。

つまり、モズの姿はその土地の生き物の豊かさを映す鏡でもあります。環境の変化で昆虫が減れば、モズもまた減る。

モズがいなくなれば、虫たちは増えすぎて生態バランスが崩れる。この捕食と被食の関係は、自然界の精妙な均衡の上に成り立っています。

モズは昔から『田の守り鳥』としても親しまれてきました。

害虫を捕えてくれる存在でありながら、作物を食べることはなく、時に小さな害鳥や害獣を襲う厳しい顔も持つ。

私たちのご先祖様はその二面性にありがたさを感じていたことでしょう」