新曲「星座の娘」

景子さんは、10月の朗読会のために、永瀬清子さんの詩「星座の娘」に着想を得た新曲を作りました。

「星座の娘」は、永瀬さんが娘時代に書いた作品です。

永瀬さんを研究する学芸員、白根直子さんは、
「永瀬さんが生きた時代は、女性の幸せは結婚で、良妻賢母であることが世の中に認められる生き方でした。そして永瀬さんは家を継がなければならなかった。

ですから、永瀬さんの両親は、女学校を卒業したらすぐに結婚させたいと考えていました。となると、詩人という生き方は、両親の愛情に反することになり、自分の理想と現実に引き裂かれるような思いでいた」と話します。

この詩には、そうした永瀬さんの葛藤も表現されています。

また、白根さんは「星座の娘にある複雑な思いは、晩年の永瀬さんならばもう少しやわらかい言葉や表現で書いたはずで、全体的に少し硬い言葉や表現は娘時代の永瀬さんでなければ書けない。そういうところも初期の詩の魅力だ」と話しています。

景子さんは、「星座の娘」の作曲について、こう話しています。

「タイトルだけ聞いた時には、神話に寄った柔らかな美しい詩なのだろうと思いました。

ですが、読み深めると、それは重力があり苦しみがあり意志があり光がある、とても力強い詩でした。

言葉に託された想いに寄り添う音楽を創ることができればと思っています」

「初めて永瀬さんの詩にふれたのは『降りつむ』を読んだ時でした。

繊細で美しい、その様なイメージを持ったのですが他の詩を読んでいくと、多方面に渡って飾ることなく体当たりで、その時のそのままの感じる全てを研ぎ澄まされた言葉によって表現している信念の方だと思いました。

学ぶべきことがたくさんあります」