全国で最高峰の学生駅伝の出場権を懸けた熱き戦いです。11月に開催される「全日本大学駅伝」。各地区の予選会を勝ち抜いた大学のみが出場することができるんですが、その中国四国地区の予選会を取材しました。

最近では、おととしまでは強豪校のIPU・環太平洋大学が独占していましたが、去年は、急成長を果たした岡山大学が初出場しています。去年の王者か…強豪校リベンジか、はたまたそれ以外か。プライドをかけた戦いに密着しました。

全日本大学駅伝出場を目指して

予選会に臨んだのは中四国の7大学。10000メートルトラックレースを行い優勝校のみが全日本大学駅伝に出場できます。岡山から挑んだのはIPU、そして前回王者の岡山大学です。

(実況)
「岡山大学です。活動費遠征費も限られる中で練習もエントリーを決めるのも全て学生が主体で行っています」

去年、創部75年を迎えた岡大陸上部は初めて予選会で優勝。全日本大学駅伝出場を叶えました。しかし、今年は…

(岡山大学歯学部大学院1年 石鍋颯一選手【画像①】)
「去年まではチャレンジャーでなんでも挑戦していけばいいだけだった」「今年は他チームからの見られ方も違う」

【画像①】

石鍋颯一選手は駅伝強豪校・青山学院大学の元陸上部。2022年に岡大に編入すると練習を改革するなどしてチームを強くしてきました。今年も絶対に勝つ。レースの準備には皆、余念がありません。

(岡山大学工学部 坂田太知選手【画像②】)
「自分の力で全国を決めたい」

(岡山大学教育学部 田川滉介選手【画像③】)
「寿命を削って走らないと」

【画像②】
【画像③】

午後5時過ぎ。運命のレースがスタートしました。この予選会では各大学・10人が10000メートルを3つの組に分かれて走り、上位8人の合計タイムが一番速かった大学が優勝となります。

「あ、出た!岩崎さん!」

【画像④】

1組目、ラスト一周を前にスパートをかけたのは岡大・医学部6年の岩崎選手。しかし後方から、IPUの佐野選手も追い上げます。激しいデッドヒートの末、先着したのはIPUの佐野選手。その差、わずか0.1秒でした

「マジかっこよかったです」
「仕掛けすぎたわ」

岡大のライバル・IPUもこの予選会に懸けています。

(環太平洋大学 横山雄也選手【画像⑤】)
「(昨年)本当に負けた瞬間はすごく悔しくて」

【画像⑤】

中四国を代表する強豪校。全日本大学駅伝にも、おととしまで3年連続で出場しましたが去年、岡大に大差で敗れ涙をのみました。

(環太平洋大学 横山雄也選手)
「そこで初めてコテンパンにされて火がついた」

もう、負けるわけにはいかない今年は、出場権を取り返す覚悟です。

【画像⑥】

2組目は岡山の2校に、広島経済大学も交えた大集団のままレースが進みました。中には、海外留学のためこの予選会が今季ラストレースとなる岡大・日名子選手の姿も。

(岡山大学医学部3年 日名子泰明選手【画像⑦】)
「走りで貢献できるのはこの予選会しかない」
「自分が走って勝つ」

【画像⑦】

ラスト200メートル。IPUの高嶋選手が飛び出すとそのまま1位でフィニッシュ。日名子選手は4位に滑り込みました。

(岡山大学医学部2年 坂田太知選手【画像⑧】)
「最後、日名子さんが持ち味のスピードを生かして前に出てくださったので先輩に助けられた」

【画像⑧】

「環太平洋が10秒速くて広島経済には12秒勝っている」

2組目を終えて1位はIPU・環太平洋大学。2位は10秒差で岡大。3位は12秒差で広島経済大学。拮抗状態のまま最終3組目・エースたちのレースが始まりました。

先頭を引っ張るのはIPUの山本選手です。去年の負けが大きなターニングポイントになりました。

(環太平洋大学4年 山本涼介選手【画像⑨】)
「もう負けは嫌だ。自分がチームを勝たせられるような存在になりたいと明確に思うようになったのが去年の予選会でした」

【画像⑨】

この1年で、自己ベストをおよそ2分短縮。中四国トップの大エースに成長しました。

(環太平洋大学4年 山本涼介選手)
「もう何が何でも勝ってやる」

山本選手を広島経済大とともに追うのは岡大のエース赤澤選手。自己ベストに差はありますが離れても、食らいつきます。

(岡山大学工学部4年 赤澤京弥選手)
「最後のゴールの胸の差の積み重ねで最後までわからないから」

(岡山大学 日名子泰明選手)
「赤澤少しずつ詰めていけよ!」
「差がない状態で3組目にいってしまったので後はこの差を仲間に埋めてもらうしかない」

苦しい走りになった岡大。それでもあきらめません。

【画像⑩】