香川県が、老朽化を理由に解体を決めている旧県立体育館、通称「船の体育館」についてです。
建物と土地の購入の意向を示している団体が会見を開き、県に解体の手続きをやめた上で協議に応じることを求めました。
(旧香川県立体育館再生委員会長 田慶太委員長)
「今後100年、大きな地域遺産としてそこに建ちえる価値のある文化の一部として次世代につないでいくべきだと考えています」

会見を開いたのは、高松市の建築家らによる「旧香川県立体育館再生委員会」です。
建物の保存のため買い取りとしているのが旧県立体育館。世界的建築家・丹下健三が設計し、その特徴的な形から「船の体育館」と呼ばれ、文化的価値が高いと評価される一方で、耐震性を理由に2014年に閉館。県は解体することを決めています。
池田知事は、きのう(25日)の会見でも「方針に変わりがない」という考えを改めて示しました。
(池田豊人香川県知事)
「地震の時、また日常時でも非常に危険な状態が続いているこういった中でこれ以上の先延ばし放置は難しいという中で判断したところでございます」
県が抱いているのは、南海トラフ級の地震での建物の倒壊や瓦礫が緊急輸送路に散乱し、通行不能になるなど安全面での懸念です。

それに対し、委員会は、独自の検討結果を踏まえ、そのような心配はないと次のように説明しました。
(旧香川県立体育館再生委員会 上杉昌史副委員長)
「建物の崩壊はない液状化による沈下もほぼないということなので協議する時間はあります。まずは一度立ち止まってほしい」
建築の様々な専門家も意見を述べました。
(ハーバード大学大学院 森俊子教授)
「この再生計画は建築文化継承のお手本として世界中に誇れるものであると思います」
再生委員会では、あさって、県の教育委員会との協議の場を求めていると明らかにしました。
それと並行し、解体工事の差し止めなどを求める仮処分の申立てや住民監査請求にも乗り出す考えを示しています。