現在の一番の問題点「被害者と加害者の人権がイコールに扱われていないこと」

人権のことに携わっている人権擁護委員会などから講演を依頼されることが多い加藤さん。「人権のことについてよく考えなければならない」と思い、加藤さんなりに考えました。

(加藤裕司さん)
「ただ『死刑囚に対しての人権』という考えです。一般の罪を犯した人たちの人権ということではなくて」

「死刑囚に関しては、『加害者にも人権はある』と基本的には私は思っています。問題は、被害者と加害者の人権がイコールに扱われていないということが一番の問題なんです」

「しかも、弁護士さんとかは特に『人権、人権』とよく言いますけど。『死刑を廃止せえ』とか言いますけど。状況はすべて100人の被告人がいれば、100人みんな状況が違うんですよね。家族も被害者も当然そうです」

「要はお医者さんと一緒ですよ。100人の患者にも同じ治療する人はいませんよね。一人一人違うわけですよ。だから、一律に人権が必要だとか、人権が必要でないとかいうことは語れないということですよ。私は『加害者と被害者は同じ立場ではない』と言いたいんです」

「被害者の家族を支援する、国から出ている経費は平均して10億~20億です。加害者は、どれくらいお金使ってると思いますか?」

「ごはんを食べさせる、薄給のお金を出す、病気にかかれば警察病院で無料で治療する、そんなこと全部含めてひと昔前に600億と言われていました。今2000億と言われています。10億、20億と2000億ですよ。なんでこんな差があるのか」

「私の言い分は『2020億を2で割れ』ってことです。被害者はそんなにお金は要りません。2000億も、1000億も要らない。たぶん100億もあればなんとかなるんかなと思ってます」

「加害者は、被害者が払ってる税金を使って暮らしているわけです。3食無料です。病気になれば、警察病院が面倒を見てくれます。普通に刑期を務めれば、わずかですけども懲役のお金を出る時にもらえます」

「これっておかしいな、と思うんです。私たちが飲食店でごはんを食べてパッとお金を払わずに出たら、どうなりますか?逮捕されますよね。お金を払わなかったから。生きていくために食べてるわけですよ。でも、お金を払わないと食べれないんです。逃げたら逮捕される」

「刑務所、拘置所の中では、3食が確保されてるわけです。誰のお金で?われわれ含めた国民のお金です。病気になったら、治療費も払わずに治療してもらえる。私たちは病院に行ってお金を払わなかったら、どうなりますか?後で追及されてどうされるか、やったことないか分かりませんけど・・・ただでは済みませんよね」

「法務省の人に聞いたことがあります。『刑務所にいる被告人は、日本国民ですか?』日本国民って、われわれが知ってる日本国民というのは、三大義務を果たすというように聞いてます。納税の義務です。15歳以上で働くっていう労働の任務があります」

「もう1つは税金です。税金を払う、働かないといけない、教育を受けてこの3つをやって初めて日本国民と聞いてますよね。(刑務所にいる被告人は)何もやってないですよね。だからどうするか、平等に扱うんです。働かせて何が悪い?ということです」

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「北海道の開拓の時代、足に鎖をしてロシアが攻めてこないように道路整備をして、その中で二百何十人が亡くなったっていうことがありますけど、そこまでひどいことはないにしても、1日頑張って1万円ほど稼ぐ。労働して何が悪いっていうことです」

「労働して得たお金で食費を払うんですよ。税金も払うんです。病気になったら療養費も払うんです。残ったものを被害者にあてる。あるいは自分が出所する時に少し持って出るお金を貯めておく。それに使って何が悪いんですかっていうことでしょう。そうすると国がお金を出さなくても済むじゃないですか。わずかのお金で済むはずです。それを平等に扱えということなんです」

「被害者だけを取り上げて、『被害者だけに何とかする』というような考えではありません。加害者も被害者も人間である以上イコールです。イコールならイコールの扱いをしてほしい。それがなぜできないのかということも考えてほしいわけですね。何に遠慮してるのかなと私は思います」