世界中を飛び回るトンボ?
ー世界中を飛び回っているんですね?
(東洋産業 大野竜徳さん)
「日本では春から初夏にかけて、海の向こうの南西諸島や東南アジア方面などから北上し、本州や北海道にまで達します。
涼しくなる秋になると、世代交代を繰り返しながら南へ戻るとも考えられています。
そして驚くべきは、その移動距離。アフリカからインド洋を越えインド、東南アジア、日本、そしてオーストラリアまで、一生のうちに1万キロ以上を移動する個体群もいると推定されており、まさにトンボ界の渡り鳥」
「NASAの研究でも、ウスバキトンボは「地球上で最も長い距離を渡る昆虫」として注目されていて、渡りを行うチョウとして有名なオオカバマダラよりも広い範囲を移動している可能性があるともされています。
ウスバキトンボの幼虫はほかのトンボと同じ『ヤゴ』。ヤゴは水中で生活しますが、大きな特徴があります。それは、一時的にできる水たまりや田んぼ、側溝の溜まり水などの止水域を好むことです。
普通のトンボであれば数か月から1年以上かけて成長するところを、ウスバキトンボはわずか1か月程度で卵から羽化までを駆け抜けます。
これは、渡りによって飛来した地域で、すぐに干上がってしまうような不安定な水域でも子孫を残すための進化した戦略といえるでしょう」
ーすごい生存戦略ですね。