「赤色巨星」がさらに崩壊し「超新星爆発」へ…ブラックホールになる?

ーベテルギウスの場合は、どうなるのでしょうか?

(山陽学園大学 米田瑞生さん)
「ベテルギウスは非常に重い恒星です。太陽の10 倍から20倍の質量があります。このように重たい恒星の主系列星としての寿命はとても短いものです」

「ベテルギウスの場合、1,000万年も経ずに赤色巨星になります。そして、赤色巨星がさらに崩壊するときに発生するのが、超新星爆発です【画像③】」

【画像③】大質量星の最期のイメージ 国立天文台

(山陽学園大学 米田瑞生さん)
「超新星爆発は、大変なエネルギー放射を伴う爆発です。恒星は、水素を核融合により重い原子を生成しますが、鉄より重い原子は生成できません」

「生命の維持に必要な銅や亜鉛といったミネラルは、超新星爆発によって生成されました。太陽系誕生以前に、超新星爆発により崩壊した重い恒星達が残したミネラルが宇宙空間に漂い、それが太陽系形成時に取り込まれて、現在の地球があることが分かります」

ーベテルギウスが超新星爆発を起こしたら、どんな影響があるのでしょうか。

(山陽学園大学 米田瑞生さん)
「太陽質量の20倍以上の重い恒星が超新星爆発を起こすと、ブラックホールが形成されることが分かっています。ベテルギウスの質量は正確には特定されていないので、ブラックホールになるかどうかは、微妙なところです」

近年、ベテルギウスが暗くみえるのは超新星爆発の兆候?

ーベテルギウスの超新星爆発は、いつ起こるのでしょうか?

(山陽学園大学 米田瑞生さん)
「近年、ベテルギウスの超新星爆発が話題になるのは、ベテルギウスにある異変が見られているためです。赤色巨星は、もともと不安定な天体ですから、明るさが安定しないものなのですが、ベテルギウスは2020年以降、暗くなることが増えました」

「星空をよく眺める人にとっては、『オリオン座がなんだか変』と思えるくらいの変化かもしれません。『ベテルギウスがいよいよ赤色巨星としての寿命も終え、超新星爆発を起こす兆候だ!』と考える人もいるでしょう」

「ただ、私は、私たちが生きている間にベテルギウスが超新星爆発を起こすことについては、懐疑的です。確かに、ベテルギウスはいつ超新星爆発を起こしてもおかしくない、赤色巨星ではありますが、ベテルギウスが超新星爆発を起こしうる期間は、1万年や10万年といったタイムスケールでしょう」

「いくら寿命が短い恒星といっても1,000万年。我々の期待するタイムスケールより、とてつもなく長いのです」