あと10年 そこを乗り切れば野犬の数は減ってくる

(砂山祐佳里記者)
「この子犬たちは、生後約1か月。実はこの子犬たちも、元は野犬だったといいます」

保健所が保護した野犬が、新たな家族のもとへ旅立つための施設「ZOOねるパーク」。設立当初施設の建物は、池田動物園が無償で提供、現在は岡山市とボランティアが協力して運営を行っています。

この施設が設立されてから、4年で94匹が新たな飼い主のもとへ引き取られていきました。

この施設で最も大切なことは犬が「人に馴れること」です。

今ではボランティアと散歩を楽しむこの犬も保護された当時は、人への恐怖心をあらわにしていたと言います。

(岡山市保健所衛生課 丸山稔さん)
「あまり人を受け入れる、という感じではなかったですね。大嫌いな私にも触らせてくれるようになったので、すごい進歩ですね」

施設を設立当初から支えてきた丸山さんです。今も各地で続く殺処分の現状について思いを語ります。

(岡山市保健所衛生課 丸山稔さん)
「全国の殺処分している自治体にも当然獣医がいるんですけど。当然好きでやっているわけではなくて。致し方なくというか、今はどうしようもないから」

7年間にわたり殺処分ゼロを続ける岡山市ですが、これを維持するためには大きな課題があるということです。

(岡山市保健所衛生課 丸山稔さん)
「本当はすぐ、ZOOねるパークに移して訓練を始めたいんですけど、あそこがいっぱいになっている状況で。捕獲数が多すぎて譲渡までが追いついていない状況で」

丸山さんたちの活動により年々譲渡される野犬が増えています。しかし、一方で施設が受け入れることのできる数を上回る野犬が毎年保護されているのが現状です。それでも根気強く活動を続ける丸山さんたち願いはただ一つ。保護された野犬たちの幸せです。

(岡山市保健所衛生課 丸山稔さん)
「一般の家庭にいって、家族に囲まれて、毎日楽しく生活できるような環境に早くしてあげたいなと思います。あと10年とかは保護される犬の方が多いと思います」

「ただ、そこを何とか乗り切れば、きっと市内の野犬の数も減ってくると思いますので」

家庭の中で大切に育てられ一生を終える犬がいる一方で、野犬として生まれただけで捕獲され、冷たい床の上で短い生涯を終える犬もいます。

山の中にひっそりと暮らす野犬たちを救うため、丸山さんたちの活動はこれからも続きます。