行列に並ぶ人たちの数だけ「ロマラン」の思い出が

「母に頼まれてここ終わるんで帰りに買ってきてほしいといわれました。母が小さいころからここに通っていたと聞いていて、とても終わるなんて悲しいなと思います」

「今週、行列できているのは気になっていたんですけど、まさか閉店とは思わなくて、あわてて思い出を買って帰ろうかと並んでいます。13か14歳で岡山に引っ越してきた時からもう40年くらい、なんかあったらロマランさんでケーキを買って家族で食べていたので、長い間の思い出がありまして…」

(近所に住む人)
「ここができた時から買っています。残念ねえ、おいしいお菓子。きょうも1時間待ちました。やはりほしくて。おいしいお菓子をありがとうございました」

(元後楽館中学校PTA会長の男性)
「PTA会長をしていた時に学園祭で『後楽館ロール』ってバザーに特別にケーキを作ってもらったり、息子がインターンシップを経験させてもらったり、公私ともにお世話になりました。みんなで味わいたいと思います。格別の味だと思います」

行列が途切れ、いよいよ閉店の時が迫ってきました。ところが、閉店しようと思っても、次々お客さんが駆け込んできます。そんな様子を穏やかに見つめていた社長。「ロマラン」と歩んだ日々が駆け巡っていたのかもしれません。

(ロマラン洋菓子店 伏見健一郎社長)
「この時間になってもこれだけの方に来ていただいて、何かはお買い上げいただくことができて良かったなと思います。昔からのお客さんがいらっしゃって三世代で来ていただいたお客様もいっぱいいらして、そういうお客様に思い出を断ち切ってしまうのはちょっとつらいところもあるのですけど、こういうことにいたしました。皆様どうもありがとうございました」

伏見社長の父親の代から岡山の街に甘い思い出を届け続けた「ロマラン」。予定していた閉店時間を2時間過ぎた午後8時、63年の歴史に幕を閉じ惜しまれながらオーブンの火を止めました。