TSMCの県内進出で注目されている半導体業界。
今回特別に熊本県内にある半導体関連企業に潜入し、その現場を取材しました。
熊本県西原村(にしはらむら)にある半導体関連製品の製造工場。

東京ドームと同じぐらいの広さの工場で作られているのが、このマスフローコントローラーと呼ばれる機械。

半導体に欠かせないシリコンウエハーは、何層ものガスの膜で覆われていて、このガスを正確にコントロールするための機器がマスフローコントローラーです。

その機器を作っているこの工場、実は…
堀場エステック 小山博之 工場長
「我々の製品は世界シェア6割を占めています」

「世界シェア 6割」の現場とは一体!?取材クルーもクリーンスーツに着替えて、最前線の現場にテレビカメラが初めて入りました。

堀場エステック 福永創一さん
「ここがマスフローコントローラーを生産する クリーンルームというエリアになっています」

案内してくれたのは入社13年目の福永さん。

この部屋は精密機器を作っているためチリやホコリは厳禁。企業秘密もあるため詳しくは見せられませんが、マスフローコントローラーの製造施設としては、世界最大規模のクリーンルームだということです。

福永さん
「こちらが組み立てをする工程です。ハードの8割をここで組み立てて、その後の工程に流れていきます」
この部屋では、およそ50個のパーツの組み立て作業から検査まで行われるということですが、意外なことにそのほとんどが人の手によるものです。

福永さん
「人の目に優るものはない部分も実際にはありまして。弊社の部品はすごく物自体が小さいので、人の目以外でこだわっていくのが難しいのです」
細かい部分は、人の経験と腕に頼らざるを得ないとのこと。実際にチェックしている様子を見てみると…
入社4年目 内田真理子さん
「穴見えますか?これが要するにお客様の機械の部品と吸着するところなんです。とても大切な部分で、ここに傷があってはいけないので確認をしていました」

ただ半導体業界は近年、人手不足が懸念されていて、この工場も例外ではありません。
小山工場長
「TSMCが来ることで半導体の産業(市場)がすごく膨らんできている。それに見合うだけの人がなかなか集められないというのが、人材不足と言われているところだと思っています」
マルチに活躍できる一流のエンジニアになるまで約 10年かかると言われる半導体業界。人材育成に時間がかかる中で、この工場が取り組んでいるのが作業環境の改善です。
作業スペースに用意された指示書のバーコードを読み取るとパソコンのモニターに1つ1つの作業指示が出るため、誰でも作業しやすいようになっているということです。

また理系以外の人材も活躍しています。
入社6年目 村上莉菜さん
「商業高校に通っていたので、ここは機械系なので工業高校の方が強いかなと思ったけど、データ確認とかだったら商業系が強いと思って」

およそ880人の従業員の9割を地元熊本で雇用しているこの工場、TSMCの県内進出を更なるチャンスと捉えています。
小山工場長
「再び九州がシリコンアイランドと呼ばれるように復権するためのいいきっかけだという風に考えている。半導体関連企業が熊本に進出するっていうこともよく聞いていますし、我々元々熊本にいるものとしてはこれを好機ととらえて、熊本の人が熊本で活躍できる場をより提供していきたいと思っています」