昭和50年(1975年)3月、国内最後の郵便船「ゆうてい丸」の映像です。昭和10年(1935年)から40年間、三角ー松島間を一日二往復し郵便物を運び続けてきましたが、ついに引退の日を迎えました。当時ニュースはこう伝えています。

「無事故で40年も郵便物を運び続けた我が国で最後の郵便船“ゆうてい丸”のお役目が、きょうで終わり天草のロマンがまた一つ消えることになりました。

“ゆうてい丸”の最後の舵をとったのは船主で船長の山下森さん(67)で、山下さんは昭和10年から郵便省と委託契約を結び、宇土郡(現:宇城市)三角町と天草郡(現:上天草市)松島町の間を一日に二往復して郵便物の輸送にあたってきました。きょうは松島港と三角で“ゆうてい丸”最後のお別れ式が行われ、松島港では今津小学校の田崎千恵ちゃんが花束をおくって、山下さんの長い間の苦労をねぎらいました。

台風の時も波が静まるのを待って必ず郵便物を島の人達に届けたいという“ゆうてい丸”もあすからの新幹線博多開業と世をあげてのスピード化の蔭に淋しく消えてゆくことになりました。」