泣いても抱っこしない そして欲望の暴走――

【ことばがき】泣いても、抱っこしあやそうとはしません。おしゃぶりを与えて、トントンとさするだけ、泣いたら抱っこしてあやす、というごく自然なことができないのです。そう、彼女がしてもらえなかったことは、してあげられないのです。泣いたら抱っこしてごらん、その声掛けにも億劫そうな様子がみられました。

親から受けていない愛情は、往々にして我が子にも注げない。山本さんはどこかでこの"負の連鎖"を断ち切らなければならないと考えている。

当の少女は・・・

【少女の言葉】みんなにだっこしてもらい かわいがってもらってます。 ぶじにうまれてきてくれてありがとう これからもよろしくね‼

絵本「それでも、障害のある17歳の女の子の出産物語」 発行:三恵社

そして、成人したことをきっかけに、彼女の「遊びたい欲望」が暴走する。赤ちゃんを連れて外泊を繰り返す。

【ことばがき】知的障害のあやうさが、ここのバランスに表れていました。どんなに乳児に負担がかかるかを説明しても、理解ができません。少し理解できたとしても、自分の感情や欲望を抑えることができないのです。

彼女の家族だけでなくパートナーの家族もひっくるめて、山本さんは複数の関係機関と連携して少女の支援にあたっていた。

しかし、ルールで押さえつけ、それがフラストレーションとなって、赤ちゃんに向かうことを恐れた。