本丸御殿で進む「3つの対応」

再び安全に観光客を迎えられるよう、今回、本丸御殿では被害状況に応じて3つの対応をとることになりました。

(1)土台となる石垣の被害が深刻なエリア

建物を解体し、石垣の積み直しから始めます。

例)『数寄屋棟』

(2)石垣の被害が比較的軽微だったエリア

石垣にはできるだけ手を加えず、鉄骨などで建物を補強するだけに留めます。

例)『照君之間』付近

(3)石垣を含めて『被害なし』と判断されたエリア

例)『小姓部屋』

…実はこの『被害なし』とされるエリアこそ、復旧後も立入禁止の場所なのです。

入田さん「ここから先(小姓部屋)が、修復が完了した後も『使用制限』というかたちで、一般の方は立ち入りできないエリアとなります」

被害がないのに、なぜ立ち入り禁止なのでしょうか?

入田さん「『文化財』として考えると、当時のものを触るのはできるだけ避けたい。被害がみられた場所ではないので、工事をしないという方針になっています」

大前提としてあるのは、文化財である石垣を保存すること。被害はないものの現時点では安全性を確認する術がなく、一般に開放できないのです。

入田さん「当時の技法や記録を残すことに価値がある。将来的に石垣の安全性が確保できれば、開放できると思います」